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【ブックレビューマラソン】『橋をかける~子供時代の読書の思い出』(美智子著)

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冬休みに入りました。今年も、ダラダラと「何もしなかった」休みにならないように、毎日一冊読んでレビューをアップしていきたいと思います。ブックマラソン、スタートです。

一冊目は、「本についての本」を選びました。恐れ多くも皇后美智子様のご本です。著書には違いないのですが、実は講演録です。

1998年にニューデリーで行われた国際児童図書評議会~IBBY(International Board on Books for Young People)世界大会の大会初日、ビデオ録画にて基調講演をされたのですが、そのビデオから起こされたもの。

ビデオは、英語版と日本語版が用意され、当然その両方の原稿を皇后が書かれました。そのビデオがNHKで放送されたところ大反響を呼び、書籍になったものです。

皇室について、あまり詳しくなかったのですが、今回この講演録を読んで、陛下の溢れんばかりの知識、本への情熱に胸を打たれました。

皇后陛下は聖心女子大学文学部のご出身なのですね。文学部の女子大生というと、「とりあえず」の代名詞的な扱いもされがちですが、陛下はかなり深く学ばれたことがよくわかります。

そして、こうした講演でよく聞かれる、理想論一辺倒でないところも、最初から惹きつけられた理由のひとつです。

児童文学と平和とは、必ずしも直線的に結びついているものではないでしょう。又、云うまでもなく、一冊、又は数冊の本が、平和への扉を開ける鍵であるというようなことも、あり得ません。
今日、この席で、もし私に出来ることが何かあるとすれば、それは自分の子供時代の読書経験をふり返り、自分の中に、その後の自分の考え方、感じ方の「芽」になるようなものを残したと思われる何冊かの本を思い出し、それにつきお話をしてみることではないかと思います。
そして、わずかであれ、それを今大会の主題である、「平和」という脈絡の中に置いて考えてみることができればと願っています。

現実的な視点を示した上で、その中で何ができるのか、チャレンジされています。かっこいい。
続けてこう書かれています。本のタイトルはここからきました。

生まれて以来、人は自分と周囲との問に、一つ一つ橋をかけ、人とも、物ともつながりを深め、それを自分の世界として生きています。
この橋がかからなかったり、かけても橋としての機能を果たさなかったり、時として橋をかける意志を失った時、人は孤立し、平和を失います。
この橋は外に向かうだけでなく、内にも向かい、自分と自分自身との問にも絶えずかけ続けられ、本当の自分を発見し、自己の確立をうながしていくように思います。

そこに、本がどんな役割を果たすのか。
幼少期に出会った、楽しい本、悲しい本の例をたくさん取り上げながら、核心に迫っていきます。楽しそうに語られるんですよこれがまた。本当に本がお好きなんですね。

皇室に入られる前は、(大変なお金持ちの家ではありますが)一般の女学生でいらしたわけですから、神田神保町あたりの書店巡りがなにより楽しかったと語られているのが印象的なのですが、今もお立場をたまには取っ払って、本屋さんで思う存分時を過ごしていただきたいなぁと思ってしまいます。

今振り返って、私にとり、子供時代の読書とは何だったのでしょう。
何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。
そして、その後に来る、青年期の読書のための基礎を作ってくれました。
それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました
この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、大きな助けとなってくれました。

そう、同感します。子供のころの読書は、その後の人生の読書の基盤です。小さい頃に本を読む習慣を身につけないと、その基盤がない状態で大人にならなければならない。

わたくしごときが偉そうに言うことではありませんが、そうして読書をしないまま大人になった人の文章は、正直読めたものではありませんし、結局これって仕事にもかなりの影響を及ぼすと思うのです。

そういうわたくしも、小さい時に本はたくさん読んでいながらも、読書感想文が大の苦手で、書けない病の患者だったのですが、いざ大人になって書く必要に迫られたときに、下手ではあれ苦ではなくなっていました。

そうすればあとは数稽古の世界です。毎日書いていれば少しずつましになっていくものです。

でもってうちの子、本を読まないんですよ。
当然読解力も著しく低い。どうすれば本を読むようになるのか、ここ数年のガチな課題です。

読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。
本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほどに深くものを感じ、どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした。

わたくしが読書感想文が苦手なのは、このあたりだと思うのですが、「思い巡らす」作業が足りなかったのではないかと。
ボーっとして人の気持ちがわからない人間だと、よくカミサンに諭されるのですが、ここかもしれません。それで最近は小説などの物語をなるたけ多く読むようにしています。(←単純)

そして最後にもう一つ、本への感謝をこめてつけ加えます。
読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。
私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても。

締めがすごすぎる。

すごすぎます。m(_ _)m

(12/30追記)いきなりでみっともないですが、大掃除にハマってしまい、マラソンは1/1からにいたします。

橋をかける―子供時代の読書の思い出

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