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【聴講しました】御社の研修、大丈夫?人材育成の現場の「ここがおかしい」10のポイント

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先日、オルタナブロガーの定例会に参加させていただきました。今回は、グローバルナレッジネットワークさんの名物講師エース講師田中さんの講演でした。「昭和の女」という強烈な個性を打ち出されている田中さん、やはり何もかもがこなれていらっしゃる。
短い時間でしたが、かなり惹きつけられました。m(_ _)m

Tanaka

今回のお題は、「人材育成の現場あるある」ということで、企業研修にまつわる「?」な点をズバズバと指摘していかれます。

うちはかなりの零細企業ですので、こういった大きな会社さんに研修を依頼するということは予算面からも組織編成的にもないのですが、以前一度「ビジネスメールの作法」について外部の先生にセミナーをお願いしたことがあります。

この時は、うちの数人で聴くのはもったいないということで、公開講座にして、社外からも参加者さんを募りました。4人くらい来てくださって、そのおかげでひとりあたりの受講費が半減されたというおまけまで。小さな会社はこういうのもアリですね。

さて、その「ビジネスメールの作法」研修ですが、その後メンバーのメールスキル、内容が改善されたかというと、実はお恥ずかしいくらい改善されていません。講師の先生の内容はめっちゃ良くて、その気になればかなり勉強になったのですが、いかんせんメンバーのほとんどが「自分のメールがよろしくない」ことに気付いていないようなんですね。

自分は悪くないと思っている人が、良くなるはずはありません。
人間、大人になるとなかなか変われないものですが、悲しいかなそれを大いに実感してしまった覚えがあります。実はその部分も今回の田中さんの講演で、どうすべきだったかを再認識した次第です。

お配りいただいたレジメ通りで恐縮なのですが、簡単に要点を振り返ってみたいと思います。

1.何のために何を目指して「研修」がしたいのかを明確にする:

特に毎年恒例、予算が組んである研修がある大企業が陥りやすい部分。何でこの研修をすべきか何も考えずにばくっと依頼されることが多いそうです。ヒアリングした結果、「研修しなくてもいんじゃない?」という企業も多そうですね。ただの時間とお金の無駄遣いになっていませんか?

2.本当の課題はそこですか?:
上の続きですが、ちょっと考えるとおかしな依頼がたまにあるそうです。例えば「新人研修の文書採点に関する研修をして欲しい」みたいな。それってそもそも「新人の文書スキルを上げる」研修をすれば済む話ですよね。「なぜやる?」「なぜやる?」を自分で何回か繰り返しましょう。

3.研修ですべてが解決すると思ってはいけない:
ブリンカーホフの4:2:4の法則というのがあるそうです。要は、
「研修前の動機付け」:「研修」:「研修後の振り返り」の割合です。研修本体はたった2割。
それほど、何のために研修を受けるかの理解、準備が必要であるか、そして受講後にどう役だっているかの確認や復習が重要であるか。確かに、うちなんかもこれが徹底できてなかったわけですね。わたくしの責任です。

また、経験学習に関する7:2:1の法則というのもあるそうです。つまり、
「自分自身で得た経験」:「他人からの学び、フィードバックによる経験」「研修や読書から得る経験」なのだそうです。人間、生きていることで意外に多くの経験をしているんですね。「長老の智恵がすごい件」にも関わる部分でしょうか。

4.人事と現場の乖離:
とかく研修は総務人事から「忙しいのにやらされている感」が強いものです。ここで人事部の方はもっと現場を巻き込まないといけないと。「現場の身内化」という言葉を使われてましたね。研修会社への丸投げもダメ。参加者の管理も含めて、もっと「いっしょに研修する」態度が求められます。

5.パートナー選び:
研修会社の選び方ですが、どんな会社に対しても「うちの研修パックはこれ」という会社はどうなんでしょう。会社によって抱える問題、事情は異なります。カスタマイズしてナンボなはずなのに、どこにでも同じ内容で売れるはずはない。相性もあるので、講師に関しては必ず見学させてもらったほうがいい。
冒頭の「何のために」を無視してしまい、価格で決めるとこういうことになりがちなのかな。

6.「内製化」は大丈夫ですか?:
各社で内部事情が異なることを鑑みると、研修がきちんと内製化できればある意味それはベストです。しかし「景気が悪くなってから内製化が増えた」のだそうですが、それは危険な要素も多いと。
世間の流れからして、現代の「講師」に求められるのは、流暢な「講演能力」から「ファシリーテーション能力」へ、講演の内容も「知識」から「気づき」へと変容しています。「反転学習」というキーワードもありました。フムフム。
社内の講師に、そこまで求めるのは無理だし、それで本業に支障が出るのは本末転倒ですもんね。

7.動機付けは自社の問題:
4:2:4の法則をズームアップ。ケラーのARCSモデルにも言及されました。動機付け、モチベーションの維持に関して、主催側も準備・勉強することはたくさんありますね。

8.講師を「先生」扱いしてはいけない:
ひたすらフレンドリーな田中さんからすれば、講演冒頭の「いかにこの講師がすごいか」という紹介も要らないんじゃないかと。まったく同感です。わたくしもたまに人様の前でお話させていただくことがありますが、「高木先生」と呼ばれるのがすんごい苦手です。
たまたま今日、得意分野についてお話しているだけで、明日はあなたに何かを学ぶかもしれないのに!

9.受講者を「お客様」扱いしない:
これもそうですねー。どんな現場でもフラットな状態でいたいものです。
研修は「業務」なのか「余剰時間の使い方」なのか、「社員への投資」なのか「福利厚生」なのかという議論もありますが、田中さんの意識ではせっかく受けるのですから「業務」として「投資されている意識で」、でも楽しく興味を持って受けて欲しいそうです。
そりゃそうですよね。「やる気ないオーラ」出している人って、伝播していきますから。
そんな場合も、田中さんはその人に積極的に親しく話しかけて、負のオーラ消しちゃうそうです。このあたり、昭和生まれ独特のスキル、ノウハウが大いに発揮される部分でもあります。(笑)

10.研修の成果が「アンケート」レベルで止まってしまう:
これは4:2:4の後の4のところですね。
研修後に「感想」を書いてもらっても仕方ないわけです。一ヶ月後とか半年後にどれだけ自分は変わったか、変わらなかったかをチェックすることが肝要。上司も積極的に研修に対する「ねぎらい」や何らかの「コミット」、「何を支援して欲しいか」など、振り返りに絡むべきだと。
なるほど。ここまで出来たなら、研修の意義もあったというものです。

以上、勝手にまとめさせていただきました。田中さん、会場をご提供下さったグローバルナレッジさん、ブロガーの諸先輩方、ありがとうございました。m(_ _)m

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