明日からいよいよ4月。当社にも新入社員がやってくる。新入社員といえば、新人研修。
新人研修といえば、一般に、会社に入ってはじめて教わることの一つに、名刺の渡し方や、電話の取り方、エレベータの乗り方、タクシーの乗り方などの「ビジネスマナー」がある。当社では、これらの全国共通なビジネスマナー教育は、外部の研修機関にアウトソースしている。しかし、アウトソースしようと思ってもできなかった項目が一つある。それが、「電子メールのマナー」。
皆さんの会社では一体どうしているだろうか?いわゆる「ビジネスマナー講座」のような講座や、あるいは書籍では、電子メールのマナーについては詳しく触れられていないように思う。私たちがアウトソースしている研修も、名刺や電話、あいさつその他の基本的なマナー講座はあっても、電子メールのマナーについては扱っていなかった。
なぜだろう?答えは明らかだ。まだ「マナー」と呼んでいいような作法の集合が存在しないのだ。電子メールの作法には、実に沢山の流派がある。ちょっと思いつくだけでも、以下のようなコンフリクトや流派が存在するように思う。
・全文引用は失礼だ派 (vs. 全文引用しない奴はダメだ派)
由来は、ボーレートが低かった時代、あるいは通信料金が従量課金制だった頃、コンテンツ生成者も効率よい通信を意識し十分心がけるべし、というところにあると考えられるが、最近のビジネスマンの世界では全文引用が正しいという意見の方が一般的のようだ。
・署名は長い方が良い派 (vs. 長い署名はみっともない派)
ビジネスマンの間では、自分の連絡先など、名刺と同様の情報を署名に記載し、自分が何者であるかをはっきりと表すとともに、相手が電子メール以外の手段で連絡をしてくる際にすぐにわかるように配慮すべし、という意見が受け入れられているようだ。一方で全文引用失礼派と同様の由来にて、長い署名は適切でないと考える一派もいる。
・HTMLメールは悪だ派 (vs. 気にしない派)
全文引用失礼派と同様の由来にて、必要もないのにHTMLメールのような、冗長な形式を選択することを悪と考える一派がいる。HTMLメールの存在自体を悪とするタイプ、単なるテキストなのにHTML形式で送ることに対して嫌悪感を抱くタイプなど、人によって細かい好みがある。
・返信の件名は必要に応じて変更すべきだ派 (vs. スレッドが途切れるので変更すべきではない派)
「件名はわかりやすく」までは議論の余地無しだが、返信の返信、返信の返信の返信で内容が変わった場合の扱いについて、件名を変えるべきかどうかの議論がある。現代のメーラーの殆どは、件名だけでなくIn-Reply-Toヘッダ等を使ってスレッドかどうかを判断しているが、そうしたことを詳しく知らないか、そういうメーラーに配慮すべきだという意見を持っている一派は、変更すべきではないと主張する。
・冒頭には自分の名前を名乗るべきだ派
メールの冒頭には、「小椋です。」のように自分が誰かを記載すべきだ、という一派。由来はよくわからないが広く普及している。
・To:ヘッダの中で相手の名前を呼び捨てにするのは失礼だ派
意味がわかりにくいかもしれないが、一般的なメーラーの仕様として、メールの返信を起稿する際には、To:ヘッダにはFrom:ヘッダの内容が引用される。From:に、「小椋 一宏
・全文引用をぶった切ってメールを書く際には、「インラインにて失礼します」等の一文を入れる派
相手の内容をそのまま引用記号(「>」など)を使って引用し、コメントする場合に、失礼だと考え、断りを入れる一派。由来はわからないが現実に広く存在する。
・免責条項記載派
(マナーの範疇を逸脱しているが)主に金融機関等からのメールで、末尾に「このメールは私個人の意見であり云々…」などの免責系の文言が挿入されるケースが散見される。会社であればこれらの意義と、挿入の方法(署名として登録?ゲートウェイで一括挿入?)も教育する必要があるのだろう。
・日本語件名は失礼だ派
20世紀終わり頃に「ネチケット」を熱心に学んだ人々の間で希に存在が確認される。
・夜中にメールするのは失礼派
携帯電話の普及にともない、携帯電話にメールを転送する人が増加している。(携帯が鳴って)寝ているときに起きてしまうので避けるべし、という考え方が存在するようだ。
電子メールがこれだけ普及しているにも関わらず、何が正しい電子メールなのか?は、形式要件だけとりあげたとしても、名刺の出し方や電話の受け方程度に一般化することが困難な状況だ。しかし、そもそもマナーとは何か、ということを振り返ると、「相手に気持ち良くいてもらうための気遣い」である。コミュニケーションという最も複雑な活動に属する電子メールに必要な気遣いの、形式要件だけ取り上げること自体が間違っているのかもしれない。
一方、企業としては、だからといって新入社員に何も教えない訳にはいかない。当社では、「ビジネスにおける電子メールの歴史は手紙や電報、FAX、電話と比べるとまだまだ短いため、これが正解という方法論はまだなく、かつ短い期間の間に大きな技術革新があったため、さまざまな背景からさまざまな考え方をする人がいる」という事実を紹介した上で、相手を気遣う姿勢をメールについても持ち続けるべきであり、相手の立場や考え方を想像して、失礼の無い形を選択しましょう、というような極めて無責任な講習を行っている(ただし、無難な形はこれだ、という形は一応提示している)。
いずれメッセージングの手段が多様化してくると、ビジネスSNSマナーとか、ビジネスIMマナーとか、ビジネスtwitterマナーとか、それぞれのメディアの特性に応じた方法論を考えなければいけない時代がやってくるのだろうか。頭の痛い話だが、新しい文化やしきたりが生まれる現場に居合わせるという経験もなかなかできるものではない。電話でいうと、「申します申します」と言っていた時代を生き、同時代人たちと一緒に新しいコミュニケーションの文化を創っているのだ、と思えば、少しはエキサイティングになれるかもしれない。
Special
- PR -| 1円切手 | 2008/04/19 01:58 |
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個人的に HTML メールが嫌いなのは、 | |
| Ifreeta | 2008/04/21 11:12 |
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>・日本語件名は失礼だ派 >・夜中にメールするのは失礼派
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| sk | 2008/04/24 15:49 |
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>・全文引用をぶった切ってメールを書く際には、「インラインにて失礼します」等の一文を入れる派 | |

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