「胃部レントゲンの前にブスコパン(なぜか太字)の注射を行います」という高らかな宣言文に続けて、顫動していない胃を取ることがいかに難しいかということを述べ、「緑内障であるなどのやむを得ない理由が無い限り、必ずブスコパンの注射を受けてください」と締めるA1用紙の貼り紙。
年1回の人間ドックに行ってきた。ドックといっても、3時間ぐらいの簡単な奴で、たくさん行列に並び、何回か痛い思いをしているうちにいつのまにか終了するのだが、レントゲン室付近の、行列が並ぶあたりにそんな貼り紙が沢山貼ってある。多分注射嫌いの大人を牽制するための貼り紙なのだろうが、私はそんなに注射嫌いではないにもかかわらず、その貼り紙を何度も読んでいるうちに心の底から恐怖感が沸いてきてしまった。周りの大人達も、そのポスターを凝視して、ゴクリと唾を飲み込んでいる。
行列に並んでいる間、暇なので、なぜそんな恐怖を抱いてしまうのかを考えたのだが、たぶん「ブスコパン」という響きがよくないのではないか。ブスとかパンとか、名前が痛すぎる。たとえ「はい、ブスコパン打ちますからねーちょっとチクっとしますよー」とかいわれても、(嘘だ!きっとチクッではなくて、ブスッだ!)と頭の中で否定してしまうだけの強さが、「ブスコパン」という名前にはある。
会社に帰って、そもそもなぜ「ブスコパン」なのかを調べてみたのだが、ブスコパンは何も注射するだけの薬では無いらしく、内服したりもするらしい。ブスッ=針のイメージだから駄目、とストレートにいえない状況のようだ。こちらのページ「ブスコパン 薬の豆知識」を見ると、主成分は「臭化ブチルスコポラミン」らしい。ブスコパンという名前はこの臭化ブチルスコポラミンに由来するっぽい。製薬会社は「日本ベーリンガーインゲルハイム」とあるので、そちらの言葉(ドイツ語圏?)だとそんなに痛く感じないのだろうか。
海外製品をローカル展開するときに、名前を変更することは結構ポピュラーに行われているはずだ。車の世界などでの例や、この業界ならAirMacの件など、誰もが一つぐらいは例を知っているとは思うが、一つだけ例を挙げると、たとえば、柔軟剤の「ファーファ」。ピンク色のぬいぐるみのクマが出てきて、「ぼく、フワフワの、ファーファ!」とにこやかな声で宣伝していたあれだ。いかにもフワフワになりそうなすばらしいネーミングだと思うが、米国では「ファーファ」ではなく「スナッグル」という名前で売られている。日本に持ってくるときに、柔軟剤に「スナッグル」では、合わないと考えたのかもしれない。確かになんか、乾燥機から取り出すときに衣服が糸を引きそうな名前だとは思う。
アホな提案だとは思うが、日本ベーリンガーインゲルハイムさんは、「ブスコパン」を、日本で注射用に製剤を展開する際には「チンチョロリン」という名前にしてはどうだろうか。「胃部レントゲンの前にチンチョロリンの注射を行います」という貼り紙にすれば、患者の精神負担はかなり軽減できると思う。えっ、注射!?→なーんだ、チンチョロリンか。と患者を安心させることができるわけだ。ブスコパンだと、名前が怖いので、大の男でも、「看護師さんすいません…あの、ブスコパンの注射って、必ず打たないといけないんですか?」なんていう質問ができる雰囲気を作ってしまうが、チンチョロリンなら、「あの、チンチョロリンって、必ず打たないといけませんか?」なんて恥ずかしくて訊けないので、この問題も解決できる。クライアントの事務コスト削減にもなるわけだ。
…と、病院の行列に並んでいる間の妄想を披露するだけのブログになってしまったが、製品名は、消費者の印象に大きな影響を与えるので、大事である、ということでなんとなく終わりにしたい。
P.S. 名前と言えば、当社内での某新製品の開発コード名が「ジャッキー」に決まったらしい。なんで?と訊いたら「最強だから」だって。
Special
- PR -| himat | 2007/10/22 16:26 |
|
あんまり外語音に苦情付けるのはお止しになった方がよろしいかと・・・・・。 | |
| 通りすがり | 2007/10/22 17:24 |
|
「処方箋が必要な医薬品は、消費者受けする必要はなく、むしろ処方する医師に受ける必要がある」というところがポイントではないかと思います。 | |
| yohei | 2007/10/22 23:22 |
|
ブスコパンっておもしろおかしい響きですよね。反対におどろおどろしい響きとしては「デブリードマン」という処置があります。これは、悪い部位から原因を取り除くという意味だそうなのですが、色々と痛いバリエーションがあるそうです。 | |
| りんだ | 2007/10/24 22:34 |
|
こんにちは。ひょんな事からこのページを発見し、それ以来いつも楽しく拝見させて頂いてます。 余談ですが、「スナッグル」は、イタリアでは「コッコリーノ」という名前で金髪セクシー美女とコラボレートしています!名前もいかにもイタリアンですが、美女と熊。さすがだと感心しました。 | |
| kt | 2007/10/26 02:09 |
|
ゲロルシュタイナーという炭酸水もだいぶ痛い名前のような気がしますね。 | |
| 大輔 | 2007/11/04 00:54 |
|
お久しぶりです。 | |
| 小椋 | 2007/11/05 15:37 |
|
皆さん一生忘れなそうな固有名詞をたくさんありがとうございます。 >大輔さん | |

ストレス社会との付き合い方
「思いやり経営」のススメ
テレワークが労働者のマインドを変える
求む、クックパッド男子
37歳の常識――我々は一生学び続ける