昨日付(5日)の日本経済新聞の一面は、「市町村も外部監査」という見出しだった。外部監査という言葉からは、いわゆる普通の上場企業が実施する会計監査のようなものだと思ったので、「納税者は株主のようなものなのだから、自治体運営に公正を期しているかどうか、外部機関が監査するのは当然だよなー、っていうかいままで義務づけられてなかったんだ、へぇー」というぐらいの乏しい認識で記事を読んだのだが、よく読んでみたら想像していた内容と違った。
外部監査を受けるのは、公表を義務づけられる4つの数値指標が一定の水準を満たさない場合のみ(既に義務づけられている主要都市を除く)。そもそも4つの数値指標自体が正しいかどうかの監査を義務づけるわけではなかった。で、よく見出しを見ると、「財政悪化時」という但し書きがついていた。
「外部監査」も、私が言葉から想像したような、監査法人が企業に実施する監査とは根本的に意味合いが違うらしい。興味を持ったのでGoogleで検索してみると、監査報告書がたくさん引っかかってきたので、見てみた。すると、確かに企業に対する監査とはちょっと違うようだった。たとえばこの辺の東京都の実例を見ると、会計関連の内容と並んで、たとえば「東京の水源域の森林におけるシカ対策について」という表題の監査意見が出ていたりする。意見は、「苗木等に保護柵を設置するとともにシカの捕獲も考慮した効果的なシカ対策を関係機関とより緊密に継続的して、実施されたい。」という結びなのだが、なんというか、範囲が広範、悪く言えば曖昧な印象を受けた。
また、興味を引いたのが、「監査人」の欄に監査法人の社員ではなく、公認会計士個人の名前だけが入っていること。実際にはどういうチームで監査しているのだろうか。また、公認会計士が、水源域の森林におけるシカ対策について監査できるものなのだろうか。
興味を持ったので、ざっくばらんに話せる知り合いの会計士の先生と雑談してみた。第一に、あまりありがたい仕事ではない、という話題があった。企業の監査はやり方が決まっているし、チェックすべきところも明らかであるが、自治体の監査は、どこをどう見れば良いのかわからないし、範囲も広範である。ハンコを押す監査人のリスクも高い。
第二に、独立性が保たれていないこともあるのではないか、という話題があった。地方自治体では、地産地消的な考えから、地元の会計士に外部監査を依頼するケースが多いが、地方は会計士も限られているので、その地元の会計士は自治体に出入りしている業者の顧問だったり、会計士協会の横のつながりが強かったりすることもあって、厳密には独立性が保たれているとは言い難い、とのことだった。その先生としては、自治体の外部監査は、全く関係ない地方の会計士か、監査法人が担当するなどの方法を取らない限り、本当にクリーンな監査とは言えないのではないか、しかしそうすると費用もかさむのんで、なかなか難しい、という見解をもたれていた。
コーポレートガバナンスの考え方は進化しており、企業の透明性を保つことで市場を健全化し、全体最適を導くことができるはずだ、という方向に世の中は動いている(米国は行き過ぎなのではないか、という議論もあるが)。談合や不正を廃し、納税者が気持ちよく納税できる世の中を作るためには、ガバメントに対するガバナンス(?)の考え方も進めていかなければいけないのではないだろうか。
上記は単なる雑談なので、全くの門外漢である私の知識不足による聞き漏らしや理解違いもあったかもしれない。しかし外部監査の実態に本当に上記のような問題があるのであれば、1. 外部監査の監査範囲と方法を標準化し、明確にすること。2. 独立性を担保するためにも、外部監査人は外部が指名し、透明性確保のために監査法人に依頼することに対する補助金を出すこと。が必要なのではないかと思った。

富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
Facebook就活はもう古い?
東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
東北から始まるイノベーション
貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦