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「脳内ビジネス」の話はまたにします!

ビジネスの師匠と守破離

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守破離ということばがあります。

これはもともとは武道において使われてきた、稽古の過程をしめす言葉で、
http://www9.ocn.ne.jp/~kihunkan/syu_ha_ri.htm
によりますと

「守」とは、師に教えられたことを正しく守りつつ修行し、それをしっかりと身につけることをいう。

「破」とは、師に教えられしっかり身につけたことを自らの特性に合うように修行し、自らの境地を見つけることをいう。

「離」とは、それらの段階を通過し、何物にもとらわれない境地をいう。

[参照]全日本剣道連盟居合道学科試験出題模範解答例、月刊剣道日本編集部

と説明されています。

これがプログラムの道、あるいはマネジメントや経営の道にも微妙に通用するので、この言葉を都合よく使っている人が多く見受けられます。

ビジネスの世界は、武道の世界と違って、人それぞれ与えられた環境がまったく違います。また同じ人をとりまく環境であっても時とともに大きく変化しますので、まず大前提として武道の考え方のように、誰か1名の師匠の「言うとおり」に行動してうまくいくということはまずありえません。

ビジネスにおいて重要なのは、1人ではなく何人かの師匠のいいところ、特に考え方を学ぶ(まねぶ=真似る)ことだと思います。

真似る際にオリジナリティや工夫を入れようとすると、師匠の考えは蜃気楼のように先に逃げて行ってしまいます。若いうちはどうしたって師匠と同じ土俵には立てません。ただひたすら真似をすることが重要です。これが「守」の状態です。

これは、自分の才能に自信のある人間ほど苦しい時期です。

「いつまで真似てればいいのか」

悩みますが、それに答えなどありません。私は真似をしつづけてうまくいくようであれば、永遠に真似していればいいと思います。

しかし、幸か不幸か、ビジネスでは環境がそれを許してくれません。自身の周りで変化する環境に合わせて、応用を利かせなければ乗り越えられない壁が必ずやってきます。

これが「破」という時期だと思います。積極的に破るのではなく、破らざるを得ず破るという感じです。

そうして、さらに環境が、この「破」の状態、すなわち応用を利かせることを何年も繰り返すことを要求してくるので、次第に自分流の体系だったメソッドが出来上がってきます。この段階が「離」です

「破」も「離」も別に「俺もそろそろその時期だと思うんだよね」という感じで傲慢不遜に迎えるようなものではなく、外部環境によって仕方なくその時期がやってくるのです。

そしてもっとも大事なことは、たぶんこれは武道にも共通することだと思うのですが、「師の考え方を真摯に守っている自分は永遠に存在している」ということです。

「離」とは、決して造反し、離反することではありません。

武道においてもきっと同じような感じだと思うのですが、ビジネスでこの「守破離」という言葉を使っている方は、その多くが積極的に各段階を迎えようという意識が強く、違和感を感じます。どうも学習ドリル的というか...。教えを乞うというのは、もっと謙虚なもののはずです。

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ちなみに私の心に住み続けている師匠も何人かいます。

今も現役でアグレッシブにサービスを展開して活動している社長もいれば、いろいろな無謀なチャレンジをした挙句、億単位の負債をかかえ倒産してしまった社長もいますし、私を利用しようとずるっこいことばかり考えていた社長もいます。他にも何人か居ますが、まあいずれも「自分の刀で斬りかかることのできる殿様」ばかりですね。

ちょっと師匠のラインナップ的にバランスが悪いのですが(笑)、それでいいのです。師匠は心の道を示してくれる人です。いろんな情報をまんべんなく与えてくれる必要はありません。そういう情報は、ビジネス書で収集すればいいのですから。

 

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