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みんなで作る位置情報サービスについて(4年前の実証実験から)

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地図の未来に続いて、今日は4年前(2008年)に行なった実証実験の際に考えていた、 「未来の位置情報サービス」について議論してみたい。

屋外でGPSの普及によって、これだけ広がった位置情報サービスだが、人の活動の多くは屋内であり、屋内向けの位置情報サービスは、残念ながらまだまだ不十分である。

研究者としては、屋内の位置情報をどう扱うべきか、について、いろいろと考えてきた。

2008年には、名古屋市営地下鉄の全駅を対象とした実証実験 を行なったりもした。お陰様で新聞(pdf)にも掲載されたり、4年前としては頑張ったと思う。

この成果は、研究室の学生さんの頑張りで、結局「駅.Locky」「路線.Locky」などのiPhoneアプリとして結実している。

しかし、個人的には満足していない。

この時に作成した情報アプリ(たしか iNaviと命名してあった)では、駅周辺のコンビニやスーパーなどだけでなく、トイレ、ポスト、コインロッカー、病院といった情報まで、現地に行って調査を行ない、位置と共にデータとして登録してあった。

短期間での実証実験では、こういった情報の本当の便利さは分からないだろうが、日常的には、不便に思う「ちょっとした」情報が大事だと思っている。

このiNavi では「今から行く駅にコインロッカーはあっただろうか」、「駅の隣の病院の受付時間は何時までだっただろうか」、といったちょっとした情報を地下鉄に乗ったまま調べられることを目指していた。

残念ながら、実証実験の期間では、期待するほどの有用性を見いだすことができず、このアプリは、そのままお蔵入りになってしまっている。
#位置に関連するデータさえ、定期的に更新できれば使える仕組みになり得るのに。。。

しかし、近年、注目されている「クラウドソーシング」の仕組みを使えば、こういった位置に関連する情報を、多数のユーザの少しづつの努力の集約によって実現できると考えている。

すでに「Yahoo! ロコ わいわいマップ」などが、ユーザが登録する地図の仕組みを提供してくれているが、これは、あくまでユーザが、自分達のために登録するデータであり、他のサービスで利用されることを期待しているとは思えない。

せっかく、様々な貴重なデータが集まっているのに、他のサービスで活用されていないのは、大変残念に思う。
#ちなみに、6/5(今日)は、ロコの日、だそうで :-)

以前のNPOのエントリでも書いたが、多くの方の「ボランティア」的な作業によって、位置情報サービスをより、リッチにすることができるはずだ。そのための仕組み作りを考えていきたい。

まだまだ準備中の位置情報サービス研究機構:Lisra は、このような「みんなで作る位置情報サービス」を支える組織として頑張りたいと思う。ぜひ応援頂きたい。

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