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セマンティックの波と情報セーフティネット

「メタデータが拓くリアルタイムでパーソナルなサービス」開設にあたってご挨拶

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オルタナブログの皆様、はじめまして。
メタデータの野村直之と申します。 
 ここ1年半ほど、「セマンティック・ウェイブ」と題したブログを執筆していまいりました。ユーザ作成の大量データの流通や共有が象徴的だったWeb 2.0 に続く、次世代Webは、どんなものだろうか? 必ずしもソーシャルの仕掛けに頼らない便利な仕組みは作れるだろうか?  いろいろ考えられるけれど、ソフトウェアやネットの仕組み、コンテンツの構造がもっと賢くならなければならないだろう。こんなことを考え、自分が技術開発で微力ながら貢献できる自然言語処理、人工知能を活かして問題解決すべく頑張る日々。この中から、気づき、発見、発案、検証、など少しずつ書こうとしていました(→※)。

 「セマンティック」とは「意味的な」という意味。なかなか気が利くようにならないコンピュータが、ユーザの発言や行動の意味を参考に、ユーザの意図を酌んで(賢く計算して)反応できるようになってほしい。このような夢を叶える技術やサービスのことを、「セマンティックな技術」、「セマンティックなサービス」、と呼んで良いと思います。※セマンティックWebについては、また別の機会に触れます。

 こちら、オルタナブログでは、いろいろ考えた結果、メイン・タイトルから「セマンティック」をはずしました。代わりに、別の片仮名「メタデータ」、「リアルタイム」、「パーソナル」、「サービス」を並べています。

 「次世代Web」活用の仕組みの鍵を握る「メタデータ」。「リアルタイムWeb」というテーマでくくれる、Twitterなど様々なサービスや広告。そして、映画「マイノリティ・リポート」に1つの究極の姿が登場した3Dパーソナル広告のように、とことん細分化された市場セグメントを追及する「パーソナル」化。

 これらの変化の潮流の中で、新たな社会問題や歪みが発生するのを、テクノロジーや運用上の工夫でどう解決できるか。メタデータ社の本業、個人情報のうっかり書き込みや有害情報をリアルタイムに自動監視するサービスも、問題解決の仕組みとなります。

 日記付きのソーシャルグラフをマーケティングに活用するために匿名化したり、リアルタイムメディアに広告を挿入するバランスのガイドラインを自主規定したり(→この部分の草稿を書いた後でTwitter社のTL内広告規制方針がscoopされました「斎藤徹:【速報】ツイッターが広告ツイート禁止を宣言。」)、法制化する。このように、ビジネスの活性化と安全安心なネットを両立させるギリギリのバランスを追及し、実験する。そして、多くのユーザに(マイノリティにも!)受け入れられる解決策を模索する試みを繰り返していくことはとても大切だと感じます。

 次回以降、「メタデータを活用した新サービス、ビジネスの仕組み」や、「リアルタイム」、「パーソナル」な「サービス」の各論を書いてまいります。どうしてセマンティックWebが「ソーシャルの仕掛けに必ずしも頼らない便利な次世代Web」と期待されるのか、あたりを皮切りに書いてみたいと思います。

Skytree_9710  この写真は、つい先日、江戸東京博物館の竜馬伝展を観た帰りに撮影した、スカイツリーです。添付した1つの理由は、執筆開始した2010年5月下旬の風景はこんなだった、と記録するためです。また「建設途上の次世代メディア」のイメージにもなるかと考えました。

 実際、山崎秀夫さんが昨年初めから言っておられるように、双方向メディアとしてのデジタルTV電波の発信塔として、「次世代メディア」のアイコンにもなっていると思います。次世代メディアを支える様々な賢いソフトウェアを作ろうとしている者として、自分がやっていることの象徴イメージとして、時々振り返って見たい、と思います。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

※→ 実は、Cnetで始めたセマンティック・ウェイブは、不自然に気負ってしまい、
 正直書くのが辛かったです。海外のセマンティックサービスを読み込んで紹介せねば、などと一人相撲していた気がします。

 確かに日本語情報の少ないこの分野で、海外情報を紹介し解説する意義は十分あって、お役にたてそうだったけれど、自分の日常の技術開発、市場開拓とあまり重ならない。この乖離のため、時間を無理にねん出して書いても自分で満足できない記事になってしまう。そんな記事、読まされる方もたまったものじゃありませんね。

 野村やメタデータ社は「コンサルタント」ではありません。
だから、海外など、多方面にたくさんのアンテナを張って受信して、外の
仕事をわかりやすく咀嚼して伝えるのが本業ではありません。

 小さな送信アンテナから、少量の強力なメッセージを発し続ける。
こんなスタンスなら、本業でオリジナルなサービス、ソフトウェアを通じて
価値を提供し、新しい流れを自ら作り出す、という日常のミッションと重なります。

 自然体でやってまいりますので、どうぞ暖かく見守ってやっていただけたら幸いです。

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