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もしも洞察力があったなら……。

【広報かるた】・【か】会見中、オフレコだけどとか言うな。

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これはもはや当たり前の話だと皆さん思うでしょう。

取材、会見を問わず、ひとたび本番に臨んだら、もう誰も助けてくれません。貴方の発言が、メモを取られ記事になったり、テレビやラジオに(若干の編集があったとしても)オンエアされるのです。つまり、取材・会見は原則として、例外がほとんどないと言っていいほど、「On Air」状態なのです。つまり、ご自身の発言には責任を持たなければなりません。だからこそ、メッセージ戦略の策定や質疑応答の練習など事前の準備が大事なわけです。

この記事を読んでくださっている方々の中で、取材や会見に臨んだことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょう。特に会見は魔物です、初めての方は大抵、かなり緊張します。なぜかって、眼前にいる相手のほとんどはにこりと笑顔を振りまくこともなく、始まりや終わりに拍手などくれないからです。つまり、当然ですが、聴衆のほとんどはジャーナリストとして仕事をしに来ているわけで、エンターテインメントやジョークなどは期待していません。ですから、そのやや鬼気迫る雰囲気が、これまで体験似たセミナーなどの雰囲気とはまるで異なるわけです。

そして、緊張のあまり、人はエラーを起こすことがあります。

記者会見場で、一通り説明を終えた方が、記者からの質問に答えていました。順繰りに司会が質問する記者を当てて行きます。そして、サービス精神旺盛な登壇者の一人は、記者からの質問に意気揚々と答えて行くわけですね。赤裸々に、生々しく、堂々と。その回答内容には、事前に想定していた範囲を大きく逸脱し、事業戦略上公開してはいけない情報も含まれていました。一通り話し終わったその方は、周囲の反応をうかがって、これは少ししゃべりすぎたかな、と思ったところで、眼前の100名の相手がほぼ全員記者なのに改めて気がついて、思わず言ってしまったんですね。

マイクを通して。

「あ、今のはオフレコでお願いします。」

私も録音していたので、このテープ(当時はテープ)一体どうしたらいいのだろう。などと反芻する間もなく、場内はやや残念な雰囲気を帯びた笑いに包まれてしまいました。一般的には失笑というものなのでしょう。

つまり、広報活動で言うところの本番とは、取材、会見その日その時であって、この時ばかりは、すべてが録音されて、記者たちの力によって公になってしまうものだと徹底して理解しなければならないのです。

間違っても、オフレコの要請をしてはいけません。

私が行うメディアトレーニングの指導項目にもこう書いてあります。

「すべてのコメントはあなたのものとして記録されると思いなさい。オフレコやバックグラウンドブリーフィング(懇談)はするべからず。」


*本内容は現在の私の所属する企業とは一切関係がありません。また、内容に少々脚色や誇張した表現が含まれている場合があります。予めご了承ください。

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*オクラホマ大学のコミュニケーション講義にSkypeで参加する筆者。これも「On Air」。

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