もしも洞察力があったなら……。

マンション管理組合の理事を一年間やってみて

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1100戸超、総勢3000名ほどの数民を抱える私の住むマンションで昨年6月から一年間、管理組合の副理事長を務めた。まだ任期満了前だが、理事である間に少しだけこの一年を振り返ってみようと思う。ただの感想文になってしまっているが、ご容赦いただきたい。

ところで、友人仲間など周囲にこんな話を振ると「私もやってました」「今理事長です」などと言う方に遭遇する。しかし、一様に涼しい顔。それが不思議でたまらない一年となった。

主な仕事は、週に一度か二度、何らかの形で理事のメンバーや、町会の役員と会って打ち合わせをし、議論。課題を整理して必要な調査を行い、月例の理事会で決議をする。私たち理事の仕事は、簡単に言うとそれだけのことだった。

この一年を振り返ると、仕事内容はシンプルであるが、実態は濃厚である。なぜか?住民という、「考える葦」との深いかかわりがあるからだ。また、毎日理事の仕事をするわけにもいかず、結局は土日に凝縮して殆どの手続きを済ませることになった。そういう意味では、とても充実した時間の使い方をすることになったと思う。

私は安全担当副理事として、防災訓練や、防犯に関する対応、あるいは駐車場構内の事故予防など、多岐の仕事を担った。もちろん私一人ですべてを行うのではなく、4名の理事から成る安全担当グループを組織して、担当を分け、チームで成果を出していくという編成をとった。私は、メンバーになるべく委譲を進め、主に役員との連携やファシリテーションに専念した。これが効を奏したのか、すばらしいチームワークを生むことができたのだった。

私のチームのメンバーは少数精鋭、そう、そういう言葉がぴったりと言える。最近話題のアメコミでいえば、さしづめ「ファンタスティック4」だ。せっかくなのでメンバーを紹介しよう。一人は、某金融会社に勤めるSさん。論理的思考と統計・解析が大得意だ。もう一人は、ニューヨーク在住経験のある二児の母、Oさん。児童や医療機関、学校の動きに詳しい。そして、元英語教師で、理事会最高齢85歳のHさん。防犯、教育への意識がとても高い。Hさんは音楽で著名な青島広志氏の中学時代の恩師だそうだ。そして私。

個性的なメンバーが揃っていた。各々が持ち分、役割を正確に理解して、能動的な理事会活動を創り上げてくれた。特に駐車場の収益を改善するプロジェクトと防災訓練は秀逸であった。両方とも、かつての理事会では充分に議論し得なかったテーマのため、ほぼゼロベースで調査と分析、報告が繰り返された。結果的には数年にわたる長期プロジェクトになっているが、最初のトリガーを引くことができたのは、理事各々の主体性が高かったことによるものだろう。

とはいえ、すべてがいい事ばかりではない。住民からクレームをもらったり、進めていた案件が思わぬ障害によってとん挫したり、様々だ。また、私のチームでは起きなかったが、他のチームではある時から突然理事会その他の会議に参加しなくなるメンバーがいたりする。理事会としてはこれほど困ったこともないものだが、現実にはそういう人がいる。(*もし、事情があって引き受けられない、あるいは、出席できないのであれば、そのように連絡を入れてしかるべきだが、それすら途絶えてしまうケースがあるのだ。残念なことである。)

さて、この一年、理事会活動は、ハードだった。しかし、学び多き一年だった。最大の学びは、マンションの資産価値を維持継続する、という目的意識が同じだったとしても、価値観や視点がまるで異なる人々が山ほどいるということだ。

住民同士の白熱した議論、頻繁に届く意見書、様々な質問や要望。主たる年間計画に加えて個別の対応についても理事間で共有し議論をしていく。夜7時に始まった会議が朝5:00に終わったこともあった。

「一体なんの議論をしているの?」と方々から聞かれる。うーん、いい質問だ。しかし決して遊んでいるわけでも、お酒を飲んでいるわけでもない。一つ一つの議題について、丁寧に、真剣に議論をしているのだ。議題によっては15分で終わることもあるが、難しい案件では、一件で2-3時間を費やしてしまうこともあった。そういう意味では、皆まじめに取り組んできたのだと言える。

しかし、こうしたことも思い出だ。もはや、真剣に議論をし、長い時を過ごした理事会メンバーは、マンション生活で得た貴重な仲間。理事会は区切りをつけ、公の役割はなくなってしまうが、こうした仲間と時折語り合う機会をまた作ることができたら幸せに思うのだった。

明日の団地総会が、無事に終わることを祈りながら。

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