夏目房之介の「で?」

夏目ゼミ2017青虫合宿4 「漫画天国」60年創刊号

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「漫画天国」は、いわゆる「青年劇画誌」ではなく、成人向けマンガ雑誌の草分けで1960年創刊。じつは昔、ここに「都会的なラブコメ」(笑)を少し描いていたこともあって、何となく親近感が。路線は「漫画サンデー」を「アサヒ芸能」的に「実話・芸能」化したような感じ。裏表紙には「日本のハワイ」八丈島への飛行機旅行の広告が。まだまだ海外旅行など夢のまた夢だった。せいぜい映画のロケ地で香港が出てくるぐらいか。エルヴィスの『ブルーハワイ』(61年)の向こうをはった『ハワイの若大将』(63年)は画期的だった気がするが、どうだろう。いずれにしても、う~ん、時代だ。
中を開くと、手塚とは異なる「ストーリー・マンガ」を早くから試みていた松下井知夫の『続・星から来た男』のカラーページで始まり、松下の弟子筋にあたる水野良太郎による国産アメコミ風『東京キッド第一話 地獄でくたばれ』のバイク場面が(当時であれば「スピード族」か?)。一方で歌川大雅(岡友彦、絵師、マンガ家、映画製作、真言立川流の本の著者など、よくは知らないが相当の怪人)の連載『悪役口笛帖 第一話 芸者と花嫁』があり、どうみても前谷惟光本人にしか見えないが、はらたつお『俺は三等兵』なんてのも。
戦前の「新青年」などにもあったアメコミ輸入(特約あるいは海賊)と国産化の流れは戦後の絵物語『沙漠の魔王』や、今回の「漫画少年」~「漫画天国」を見てもわかる。これは60~70年代の青年劇画誌にも引き継がれ、バロン吉元へとたどり着くのだろう。いや、ある意味ではメビウスのBD~大友の流れも同じ位相か。また、浮世絵~挿絵や絵物語の流れも、やはり貸本から小島剛夕、平田弘史などへとつながっている感じがある(「劇画」と呼ばれてしまうので、わかりにくくなっているのかも)。

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