オルタナティブ・ブログ > 夏目房之介の「で?」 >

夏目房之介の「で?」

映画『バードマン』

»
なかなか面白いけど、けっこう暗くて解放感はない。
120分、限られた場面以外、ほとんどすべての場面がカットの切り替えなしの「長回し」風(見ていると実際に一つのカメラずっと長回してはできない場面がある)に加工され、それが強い閉塞感や主観的な視界の異常さを尋常じゃないほど強調していて、そこが見どころでもある。マイケル・キートンは好きな俳優で、彼のバットマンがいちばん好きだったりしたのだが、年老いて人気ハリウッド俳優だったころを忘れられない情けない男そのものに見える。見るのにちょっと気合いるけど、見応えはある。カットの切り替えが、いかに映画の快感になっているかが逆にわかるような映画でもある。
Comment(0)