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夏目房之介の「で?」

帰国後のマンガ読書、濃いぃィィ~~~((笑)

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山口貴由『衛府の七忍』1,2巻 秋田書店
柴田ヨクサル『妖怪番長』1巻 講談社
大和田秀樹『所得倍増伝説 疾風の勇人』1巻 講談社

 いやはや、我ながら何でこんな「濃いぃ~」セレクションに((笑)(あ、『疾風の勇人』はご贈呈いただきました!)。
 山口貴由『衛府の』は、豊臣滅亡直後の徳川支配体制にまつろわぬ者たちが挑戦する山口時代劇。山田風太郎的な、双方異形の戦士たちが激突するのだが、山口マンガおなじみのキャラクターも。2巻登場の波裸羅(はららby『覚悟のススメ』)はむろん、敵役家康に組す模様。NHK大河『真田丸』で近藤正臣がやってる本多正純の息子・正信が、とんでもない姿で登場したときには、思わず笑ってしまいました。16.6.5「衛府の七忍」本多正純.JPG
 さて、柴田ヨクサル『妖怪番長』は、悪い妖怪に対抗するための超能力幼児たちを主人公にした学園(?)バトル物だが、例によってかなりぶっ飛んだ展開になっている。とりあえず、最初に唐突に登場するカラス群の上にタダのおっさんの頭が載った妖怪には笑った。
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 大和田秀樹『疾風の勇人』の「勇人(はやと)」は表紙に描かれている、まるでヤクザものマンガみたいな強面イケメンのことなんですが、驚くなかれ、これがのち高度経済成長政策を主導した池田勇人首相の若き姿なんであります。「わだしは嘘はもうしまぜん」とだみ声でいってた、あの人が、、、、と、同時代を生きてた人間としては驚きを隠せないのですが、考えてみりゃあ、今やすでに歴史。私らには、同時代史に近い肌感覚のGHQと吉田茂らの暗闘や政争は、今ややくざマンガ的なポリティカル・フィクションになりうるのであった。これがまた困ったことに面白い。ほんとにいい男だった白洲次郎はともかく、のちの首相・佐藤栄作や宮澤喜一、田中角栄が出てくるたびに、おかしくってニヤニヤしてしまう。だって、テレビで首相になった彼らを、さんざん見てるからねー。この距離感の違いが「戦後70年」ってことでしょうか。

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