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夏目房之介の「で?」

小野耕世さんのメディア芸術祭受賞記念パーティ

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寄せ書き帳と小野クッキー.jpg小野クッキー.jpg3月7日(土)、小野耕世さんのメディア芸術祭功労賞受賞を祝って、日比谷図書館ライブラリー・カフェで祝賀パーティが、講演に続いて行われました。写真は、そこで配られた小野さんクッキーと、寄せ書きノート。ノートには、小野さんが翻訳された作品の一コマが色々と載っていて、その隣にサインとをするようになってます。

小野さんは、ご存知のように長いあいださまざまなマンガを紹介してこられ、印口崇氏や小田切博氏に影響を与え、海外マンガの紹介、翻訳、向こうの事情紹介を、その広範な交友関係から行い、日本マンガについても「マンガ奇想天外」などに「スピード太郎」や松下井知夫など、あまり触れられない作品、作家を紹介し、とてつもなく幅広い活躍をされてきました。昔、僕の本の紹介もしていただいて、ずいぶん嬉しかった記憶があります。小田切さんが以前から主張するように、もっと評価されてしかるべき方なんですが、ようやくこうした賞を受けられるようになってきました。ぜひとも、小田切さんには「小野耕世読本」のようなまとまった本を作ってほしいところです。

また、僕は以前、マンガ史研究会の飲み会に海外人士がいるとき、調子にのって様々なことを外国の人に聞いていて、小野さんから叱られたことがあります。僕が聴いているようなマンガの状況なんて、時代が移ればすぐ変わってしまうものだし、そんなの小野さんの本を読めばみんなわかるじゃないか、というご指摘だったと思います。小野さんからみれば、僕の不勉強、怠け癖は一目瞭然で、それをまっすぐ指摘してくださいました。僕は、自身の能力(とくに語学力ね)と性格からして、そんな軽率で浅薄なやり方しかできないのですが、それなりの意味はどこかにあるだろうぐらいに思っていて、でも小野さんには許しがたかったんだと思います。そういうことを正面から指摘してくれる人なんて、そうはいないので、ありがたいことだなあと思ってきました。

現在のマンガ研究やマンガ環境作りを担う綺羅星のごとき人々がいる前で、パーティのしめくくりに小野さんは、自分が好きなことをあれこれやっていたら、自然とこんなになってしまっただけで、自分が凄いことをしたとも思っていない。翻訳家という意識もない。こうやってみなさんが集まってくれて、本当にいろんな人に助けられたきたんだなと思う、とおっしゃいました。この感じは、僕のようないい加減な人間には一層よくわかるものですが、小野さんのお仕事は海外国内のネットワークだけでも大きな功績だろうと感じます。もっと評価され、利用されるべきものでしょう。

まだまだお元気な小野さんには、これからもお元気で頑張っていただき、また目に余ったらお叱りをいただければ、と思います。
おめでとうございます!

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