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夏目房之介の「で?」

映画『散歩する惑星』

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http://www.bitters.co.jp/sanpo/kaisetu.html

TSUTAYAでDVD眺めていて、あからさまに怪しそうなジャケットを見つけた。『散歩する惑星』という訳わからんタイトルの下に「ジャック・タチmeetsキューブリックinストックホルム!」と書いてある。ますます怪しい。ゲージツ気取ったスカの可能性もあるが、面白い可能性もある。で、観てみました。

結論からいうと、とりあえず最後まで観られます。前半はけっこう笑う。のんびり、まったりしたナンセンスで、ややブラック。自分で自分の店に放火して半焦げになった悲劇的心理状態の太ったオヤジが、地下鉄だかの中で泣いていると、乗客全員が突然美しい歌を合唱し始めたりする。ここはバカらしくて、でも美しいので、お気に入りの場面。登場人物全員素人らしい。なるほど。スウェーデン映画なので、よくわからんが、そうかなと思う。
でも、後半はほぼ悲劇的なニュアンスの強い映像詩。ただ、映像は凝ってて、どれもこれも絵画みたいで、それだけで観ることはできる。わかろうとしなければ、それなりに面白いと思う。
TSUTAYAの表記には「コメディ系」と書いてある。困ったあげくの「系」づけ、という感じがしておかしい。でも、「不条理映画(笑いあり)」とでもしておいたほうがいいかもしれない。ただ、ジャック・タチとキューブリックの出会いはどこにあったのか、僕にはわからなかったなあ。

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