夏目房之介の「で?」

内記稔夫さんが亡くなった

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「現代マンガ図書館」を作られ、私費で貸本を中心に膨大なマンガを保存整理され、日本のマンガ研究に大きな貢献をされてきた内記稔夫さんが亡くなられた。

内記さんは、江戸っ子らしい気風の素敵な方だった。よく会場を手配してくれたマンガ史研究会では、いつも分け隔てない態度で若い人たちにも接し、気さくに何でも話してくれた。長い間、私財を投じてアーカイブを支えてこられた彼に手塚特別賞が贈られたときは、本当に嬉しかった。でも、そのスピーチでも窮状を訴えられていたのが記憶に残る。もともとブックオフを狙った「著作権を考える会」の運動が失敗し、ついでみたいに一定程度の蔵本を持つ貸し本業に課金することになったときも怒っておられた。私設図書館は、貸本屋さんなのだ。マンガ出版社は、恩人に仇で返すマネをしたといわれても仕方がない。あの時は休業することになった生き残りの貸本屋がずいぶん出ただろう。悔しかったと思う。

いや、僕は内記さんがいなくなってしまったことで八つ当たりしているかもしれない。僕は内記さんが大好きだった。あの優しい笑顔、あのまっすぐな口調に出会えなくなる。優しくて、立派な人でした。現代マンガ図書館が明大と組んで存続したことは、せめてものことだった。かなり前から入院され、折に触れ耳にするかぎりでは、けしてかんばしい状態ではなかったので、覚悟はしていた。でも悲しい。内記さん、今まで本当にご苦労様でした。そして、ありがとうございました。

心からご冥福をお祈りします。

関係のあった方へ

マンガ史研MLに流れた情報です。

通夜 6月8日(金)18時~19時
葬儀 6月9日(土)11時~13時
場所 文京区小石川 傳通院

追記

米沢嘉博記念図書館と日本マンガ学会のホームページの追悼メッセージ

米沢嘉博記念図書館のホームページとブログ
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/naiki.html
http://d.hatena.ne.jp/yonezawa_lib/20120604

日本マンガ学会ホームページ

現代マンガ図書館創立当時のエピソードが
「街のふるほんや 本のある暮らし」「追悼 現代マンガ図書館館長 内記稔夫さん」
http://furuhonya.blogspot.jp/2012/06/blog-post_04.html
http://www.jsscc.net/member/1186

Comment(3)

コメント

GDH

>あの時は休業することになった生き残りの貸本屋がずいぶん出ただろう。

一定の条件を満たした貸本屋は使用料徴取の免除を申請できる、と聞きましたが。
http://www.taiyoken.jp/Datas/Pdf/Taiyoken200606160001.pdf
第10条(使用料の免除) 前条にかかわらず、全国貸本組合連合会の会員またはそれに準ずる旧来からのいわゆる「貸本屋」と認められる事業規模および営業形態の者であって、かつ、以下の要件(1)および(2)を全て充たした者については、委託者は受託者に使用料の免除を申し出ることができる。
(1) 平成12年1月1日以前に旧来からのいわゆる「貸本屋」として営業を開始し、転廃業などをせずに現在までその営業を継続している者
(2) 貸本対象出版物が1万冊以下の者

とはいうもののレンタルコミック店への転業があいつぎました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Nakayoshi_Bunko.jpg

GDH

>あの時は休業することになった生き残りの貸本屋がずいぶん出ただろう。

一定の条件を満たした貸本屋は使用料徴取の免除を申請できる、と聞きましたが。
http://www.taiyoken.jp/Datas/Pdf/Taiyoken200606160001.pdf
第10条(使用料の免除) 前条にかかわらず、全国貸本組合連合会の会員またはそれに準ずる旧来からのいわゆる「貸本屋」と認められる事業規模および営業形態の者であって、かつ、以下の要件(1)および(2)を全て充たした者については、委託者は受託者に使用料の免除を申し出ることができる。
(1) 平成12年1月1日以前に旧来からのいわゆる「貸本屋」として営業を開始し、転廃業などをせずに現在までその営業を継続している者
(2) 貸本対象出版物が1万冊以下の者

とはいうもののレンタルコミック店への転業があいつぎました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Nakayoshi_Bunko.jpg

BB

昨日の夕刊で訃報に接しました。

本当に悲しく,残念でなりません。

江東区マンガ講座の進行役を闘病のため降りられたとき以降,いかがなのかと案じておりました。

笑顔が今でも思い出されます・・。

「現代マンガ図書館」は,その後,各地にできた施設に大きな影響を与えたと思います。

丹念な仕事と業績へ敬意を表するとともに,
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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