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高校生に告ぐ!進路は世の中の未来を観てから自分の未来を考えよ!!

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学校によって異なるだろうが、秋は高校1年生または高校2年生にとって人生の大きな選択を迫られる時期である。進路選択。自分の未来の方向性を自分で決める選択である。多くの人にとっては、生まれて初めて "自分の人生を自分で決める" 最初の選択だろう。

僕らの世代の進路選択は、それはもういい加減なものだった。 高度成長期のニッポンにおいては、どんな選択をしても間違えはないと思っていた。 将来どんな仕事をしたいか、ということも考えず、とりあえずどんな大学でどんなことを学びたいか、ということと自分の "現在" の得意不得意だけで進路を決めてしまっていた人がほとんどだったように思う。 僕の場合はもっと酷くて、直近の成績で無理せず一番楽そうな進路を選んでしまったような気がする。 将来のことなどこれっぽっちも考えていなかった。 それでも、それなりに生きてこられたよい時代に生まれ育った。少なくとも今日までは。

しかし、残念ながら、現在の高校生は状況が大きく異なる。 デジタル技術とロボット技術の急速な進化を第4次産業革命の最中であり、また新興国の急速な成長、先進国の人口減少と経済停滞による世界のパワーバランスの変化もありそうな時代。 それらは日本国内にも大きな影響を与えるので、"日本から出ないから" と言っている人にとっても人ごとではない時代。

そんな現在の高校生の進路選択は、世の中の未来をよく考えて決めるべきだろう。 Back to the Future の Marty Macfly や ドラえもんののび太がタイムマシンで未来を見て考えを変えたように、タイムマシンで未来の世界を見て、よく考えたい。 でも、現実世界には未だタイムマシンはない。 そこで、タイムマシンで観る未来よりは精度は落ちるけれど、進路選択にあたって観ておくべき未来予測について、まとめておこうと思う。

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【メガトレンド】

ひとつひとつの事象ではなく、世界全体の政治・経済の大きな流れ、そしてテクノロジー進化がそれらに与える影響も踏まえて、今後世の中がどのようになっていくのか? まずはそのことを大きく捉えてみるのが良いだろう。 それに役立つのがメガトレンド : 世の中の最も大きな潮流の予測である。 様々な組織(研究機関や調査会社、企業など)が、様々なメガトレンド分析・予測を発表している。 是非、自分で検索し調べて欲しいが、ここではそのうちの一つを紹介する。

PWC メガトレンド〜5つのメガトレンドと潜在的影響
http://www.pwc.com/jp/ja/megatrends.html

コンサルティング会社のPWCは、世界経済に大きな影響を与える世界のメガトレンドとして、5つを挙げている。

1)急速な都市化の進行

 都市に住む人の割合は、1950年代には世界人口の30%以下だった。それが60年後の現在は50%となっている。2050年には72%になると予測している。 農村部から都市部へ人口が多く移動するのはアジアとアフリカであり、これらの地域の爆発的に人口が増加する都市では、大規模なインフラ整備が必要となってくる。

2)気候変動と資源不足

地球温暖化による異常気象や海水面上昇による農業・漁業への深刻な影響。 その対策としての食料、水資源確保の動きと、地球温暖化を緩和するための再生エネルギーへのシフトが必要となってくる。世界人口が83億人となる2030年には、エネルギーは現在よりも50%多く必要となり、同じく水は40%、食料は35%多く必要となると予測されている。

3)人口構造の変化

日本の少子高齢化と人口減少傾向については知らない人はいないだろう。 世界に目を向けると、地球全体ではまだまだ人口増加中であり、それを支えているのは新興国。それら新興国では新たな潤沢な労働力と消費が生まれ、その労働力が人口減少に悩む先進国に流入する。 日本も例外ではなく、日本に住み仕事をする外国人が相当増えるだろう。

4)世界の経済力のシフト

現在の先進国が経済を牽引する時代は終わりつつある。 BRICs などの新興国が経済発展し、これらの国が資本、人材、イノベーション技術を輸出する時代となる。 その輸出先は先進国だけでなく、新興国の間での取り引きが増える。 現在の先進国抜きの経済圏が大きくなってくる。

5)テクノロジーの進歩

IT を中心とするテクノロジーの進化は目を見張るものがある。 クラウド(Cloud Computing)、IoT (Internet of Things)、A.I. (人工知能)、ビッグデータ(Data Analytics)、CPS(Cyber Physical System)。インターネットが無い時代と現在を比較するように、IoT や人工知能が普及した未来の生活を現在と比較しつつ想像すると良いだろう。
そして、ITだけでなく、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、再生医療などによる医療の革新や3Dプリンタ、ドローンによる製造、物流などの革新も見据える必要がある。

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【未来年表】

メガトレンドを理解した上で、年単位での細かい未来を観ておきたい。 特に進路を考える上では、自分のライフイベントとその年に何が起こっているかを予測しておくことが重要だと思う。 就職氷河期という事象を知っている人は多いだろう。 景気によって企業の新卒採用人数が左右され、就職活動する新卒にとって、大げさに言えばその新卒採用人数の増減によってその人の人生が大きく左右されてしまう。
けれども、就職も全ての業種・職種を同一に語るものでも無いし、そもそも新卒で入社した会社に生涯勤務する終身雇用の時代は終わりつつある。また、就職はライブイベントの一つに過ぎず、結婚、出産、子供の成長、歳をとる親など、個人にとっての様々なイベントがこの先起こってくる。 このライフイベント世の中で起こることのタイミングについて照らし合わせた上で、自分の将来を考えると良いだろう。

未来の年表もインターネット上で検索するといくつかヒットするが、野村総研が発表しているものが、ノイズが少なく見やすそうだ。

NRI 未来年表
https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/teiki/it_solution/2016/ITSF160109.pdf

この日本の未来の年表のイベントをピックアップしつつ、抜けを補足し、更に現在の高校1年生のライフイベント例を追加しつつまとめてみよう。

2017年 17歳 高校2年生
・IPS/ES細胞の臨床研究が行われる。
・複数車線での自動走行技術が実用化される。
・年金の受給資格期間が25年から10年に短縮。
・ガス小売業への参入が全面自由化。
・6次産業の国内市場規模が3兆円に。
・後発医療品(ジェネリック)の数量シェアが80%に。

2018年 18歳 高校3年生
・コメの減反政策を廃止。
・放送コンテンツの海外売上高が2014年の3倍に。
・利用範囲を拡大するマイナンバー改正法が施行。
・約100地区でバイオマス産業都市を構築。
・国民健康保険の運営を市町村から都道府県に移管。

2019年 19歳 大学1年生
・「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を実施。
・総世帯数がピークに(5,307万世帯)。
・小型月着陸船(SLIM) 打ち上げ。
・0〜2歳児の保育定員が1万1千人分不足。
・グローバルにシステム上重要な銀行(G-SIBs)への資本上乗せ帰省の完全実施。

2020年 20歳(祝成人!) 大学2年生
・東京オリンピック開催
・労働人口が6,495万人に減少、うち65歳以上が11.4%。
・6次産業の国内市場規模が10兆円に。
・東京都の人口が1,336万人でピークに。
・小学校で英語が正式教科に。大学入試英語で「読む・書く・聞く・話す」の4技能評価を導入。

※日本における最後の大型投資と言われる東京オリンピックが終わり、2020年を転機として国内経済は縮小傾向となり、また外国人の日本国内の居住と就労が急増し、日本国内のグローバル化が急速に進む。

2021年 21歳 大学3年生
・人工知能が東大に合格する。
・中国が実質GDPで米国を抜き、世界1位に。
・スマートペイメント(電子決済手段)の取扱金額規模が91.3兆円に拡大。
・B2B EC市場(一般消費者向け電子商取引)が25.6兆円に拡大。

2022年 22歳 大学4年生
・九州新幹線 武雄温泉〜長崎間 、北陸新幹線 金沢〜敦賀間が開業。
・ガス導管事業の法的分離が施行。
・インドが人口で中国を抜き世界1位に。
・中国、大型宇宙ステーションを建設。
・ドイツ、原子力発電所を全廃。
※【筆者である成迫剛志が還暦に】

2023年 23歳 社会人1年目 または 大学院1年目
・新名神高速道路全線開通。
・公債等残高が1,189兆円に。

2024年 24歳 社会人2年目 または 大学院2年目
・宇宙機器産業の事業規模が2015年からの累計5兆円に。
・スマートメーターの全家庭への導入完了。
・世界の人口が80億人に到達。

2025〜30年 25〜30歳 社会人3年目〜8年目 または院卒就職1年目〜
・再生医療の国内市場規模が1兆円に。
・日本の経常収支が赤字化。
・日本の高齢化率(65歳以上)が30.3%、国民医療費が61兆円に。
・太陽光発電のコストが従来の火力発電並みに。
・リニア中央新幹線開業。渋谷駅街区開発が完成。(2027年)
・国内の原発48基のうち半数が廃炉に。
・日本の潜在GDP成長率がマイナスに。

2030年〜2060年 30歳〜60歳 一人前の社会人。出産と育児。
・両親が要介護となり、その後死別。遺産相続。
・世界の人口が90億人を超える。アジアの人口は53億人。
・人工知能が人間を超えるシンギュラリティ。
・完全自動運転の実用化。人間は運転不要となり誰でも好きな時にどこにでも行けるようになる。
・日本の人口が9,707万人に減少。
・全国のほぼ半数の896市町村が将来存続の危機に直面。
・日本の高齢化率(65歳以上)が38.8%に。
・日本、実質GDP成長率がマイナス成長に陥り、脱却困難に。
・日本、世帯数減少により、空き家率が32%に上昇。
・温室効果ガス排出量を2008年比で80%削減。

2060年 60歳 そろそろ定年
・日本の人口が8,707万人に減少。
・日本の生産年齢人口が、2010年比45.9%減の4,418万人に。
・日本、国民1.2人で高齢者1人を支える「肩車型」に。
・ロボット産業の市場規模が9.7兆円に。
・再生医療の市場規模が2.5兆円に。

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残念ながら、現在は未だタイムマシンが存在しないため、これまで書いた未来はあくまで予測・推測でしかない。しかしながら、大きなトレンドとしては概ねあっているように思う。抜けているのは、日本の経済の中心部を襲う大震災(南海トラフ地震、関東大震災)と第3次世界大戦くらいだろう。(といっても、この2つの影響度は計り知れない)

それらを元に、高校生諸君には自分自身の人生をデザインして欲しい。それが「進路選択」であり、高校生諸君はそんな大きな岐路にあることを認識して欲しい。

最後に、これまでの未来予測の精度にかかわらず、未来を考えて進路選択する上で考慮しておくべき事柄をいくつか挙げておきたい。

  1. 英語の公用語化:ボーダレス化、グローバル化により、日本国内にいても英語によるコミュニケーションは必須となる。
  2. グローバルコミュニケーション能力:上記と合わせて、生い立ち、文化、価値観、習慣の異なる人たちとのコミュニケーションが日常的に必要となる。日本的な阿吽の呼吸は少なくなる。
  3. IoTとCPSにより、全ての事柄がデータ化されサイバー空間/クラウドで処理され、また全ての物がコンピュータによって制御されるようになる。そのような時代に必要な能力はデータを扱う能力とクラウド/コンピュータを扱う能力である。すなわち統計学の知識と論理的な思考能力を高めておくべきだろう。
  4. 人工知能とロボットの技術の進展によって人間がやらなくてはならない仕事は大きく変わる。特にルーチンワークは、そのほとんどが機械が行うようになる。そんな中で人間に求められる能力は、無から新しいものを生み出すクリエイティブ能力、ゼロイチ力である。物事を俯瞰的に捉え、斬新なアイディアを考えられる能力が求められる。もちろんそのベースとなるのは、社会の仕組み、経済の仕組みを理解していることである。
  5. 楽観的に考えれば、未来は働く時間が少なくなり余暇に費やす時間が増える。また可処分所得も増える。そのような楽しい時代となるのだから、文化的な趣味を持っておくことをお勧めする。そのためにも一般教養が重要である。

以上、成迫剛志の勝手な妄想も含めて書き殴ってみたが、それにしても未来に生き残るのに必要なモットーは、僕が10年以上前から心がけている「ロジカルシンキングなラテン系」であることを再認識した。(自己満足)

追伸:これを石原さとみに校閲して欲しい。(ハートマーク)

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