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IBMクラウド責任者でSoftLayerの創始者が退任

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Lance Crosby氏がIBMを去った。

IBMが、Crosby氏が創業した SoftLayer を買収したのが 2013年6月。 この買収を機にIBMは大きな方向転換を行った。 長年自社で推進し多くの顧客を持つ Iaas サービスである IBM Smart Cloud Enterprise (SCE) をサービス停止し、既存顧客も含めて全てを SoftLayer へ切り替えることを断行。 サービス停止と切替実行まではわずか半年というスピードだった。

IBMによる買収後も SoftLayer は独立した企業として継続、Crosby氏は SoftLayer社のCEOであるととともに IBMのクラウド事業の責任者に就任していた。 IBMのクラウド中核事業となったSoftLayerは、IBMによる大幅な資金供給によるグローバル展開とサービス拡充を図っており、昨年12月末には東京リージョン(東京DC) も開設したところだ。

米国の報道では、買収時の条件が Crosby氏が買収後も19か月間 CEO として残ることであり予定の19か月間が経過したこと、そしてグローバル展開に伴い世界中を飛び回り多忙を極めているCrosby氏が家族との時間を大切にしたい、ということが退任の理由とされている。

しかし、IBM が10万人のレイオフをすること、そしてIBM CEO である Virginia Rometty氏のボーナスが360万ドルであるという報道に対して、Crosby氏は早速、 "失礼なことであり、誤った判断である" とFacebook上で述べるなど、さっそく現在のIBMを憂う発言をしている。

IBMのクラウド戦略がCrosby氏の退任によって大きな影響を受けることはないと思われるが、スタートアップ企業を買収しそれを中核事業と位置付けた超巨大企業が創始者が去った後にどのように舵をとっていくのか注目したい。

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