オルタナティブ・ブログ > 成迫剛志の『ICT幸福論』 >

”情報通信テクノロジは人々を幸せにする”を信条に、IT業界やアジア・中国を見つめていきます。

新年白熱ラウンドテーブル 「2015年から始まる変革」 メモ

»

1月19日に行われた "CLUSTER 新年白熱ラウンドテーブル"。 ショートノーティスだったにもかかわらずクラウド界隈の豪華な(猛獣系?)顔ぶれとなりました。

10003806_1067591713266487_2145796193976459373_o.jpg

テーマは、<2015年から始まるIT業界の変革、ITによる社会の変革の波> とし、お題としては、

  • 押し寄せる外資の波とクラウドの波に日本のIT業界は、どうすべきか?
  • IoT、ビッグデータ、機械学習、DMPなど。 今年のキーワードとその動向は?
  • クラウド化の進展とユーザー企業のIT部門の役割の変化は? ニッポンのITゼネコン体制はどうすべきか? 企業のIT部署の内製化はどこまで?
  • マーケティングオートメーション、DMP(データマネジメントプラットフォーム)等の動向は? これらはIT業界主導がよいのか? 広告業界とIT業界でタッグを組むべきか?
  • クラウド&モバイル活用によるワークスタイルの変革は?
  • 日本の最後の大規模投資である東京オリンピックに向けて我々がやるべきことは?

などを予定していたのですが、多様性に富み、かつウルサガタなメンバー、限られた2時間弱では語りつくせませんでした。 また、"2015年から始まる" という未来志向であったのですが、まずは未来に向かう前に現状分析をという殊勝な(?)議論も盛り上がってしまったりという状態でした。 そんな混沌としたラウンドテーブルの断片のメモをまとめたので共有します。 会場を提供いただきましたNTTコミュニケーションズ様、お集まりいただきました方々、ありがとうございました。

2015年1月19日 CLUSTER新年白熱ラウンドテーブル 於NTTコミュニケーションズ汐留

実施概要と参加者

<ラウンドテーブルで語られたことの断片のメモ>

★IT技術の進展

  • 2015年からの5年間で、IT技術の進化に伴いインフラの構造改革が進む。
  • 2020年には想像できないようなリソースが利用可能となるだろう。
  • 例えば、京の100倍の能力のコンピュータ、SDNが一般化、東京オリンピックに伴うITインフラ整備等。
  • そのような時代に、デジタルネイティブ、モバイルネイティブ、クラウドネイティブな世代が30歳代となり、変革を推進していく。
  • クラウドネイティブ世代は、論文執筆にPCやタブレットを使わず、スマホで書く輩までいる。 また、メールを使わずLINEのみ。 メール、それって便利なんですか? という反応。 社内メール禁止で、Chatworksのみの事例もあり。
★クラウド利用のハードルがさらに低く。
  • Microsoft, Amazon, Google がこの半年間でTokyoに10-20万サーバーを配備していて、さらに加速する。
  • 外資系クラウドを使いにくいひとつの理由が無くなってきている。
  • FISCのクラウド利用緩和の動き。
  • 「金融機関におけるクラウド利用に関する有識者検討会」の報告書が提出され、『金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書』や『金融機関等のシステム監査指針』が改訂される。 勘定系以外はクラウド利用。 背景には、地銀の統廃合計画もある。
  • クラウド利用は現在は全体の2,3%。 2020年には20~30%になる。 それでもまだまだオンプレを使う人は7割残る。(プライベートクラウド?)
★IT部門やIT人材、ITプロジェクトの日米比較
  • 日本:IT従事者の7割が提供側、3割がユーザー側(エンタープライズ)
  • アメリカ:IT従事者の7割がユーザー側、3割が提供側
  • 日本:IT部門は、提案を待つスタンスのところが多い。
  • アメリカ:自分たちで新技術を取り入れ次世代化していく。
  • 日本:地道な改善が主。10%削減などの
  • アメリカ:ITによる劇的な合理化。数日を数分になど。
  • 日本:質にこだわる。新しいものを入れるための検討に時間がかかる。
  • アメリカ:とりあえず使ってみる。
  • 日本:売上に対するIT投資額の割合が低い。IT総投資額に対する維持運用保守費用が高い。
  • アメリカ:売上に対するIT投資額の割合が高い。IT総投資額に対する維持運用保守費用が安い。
  • ※これって、日本のITはほとんど新しいことに投資できていないってことか?
  • 日本:既に取引のあるベンダーからの提案や政治的な理由で、採用製品・サービスを決める。
  • アメリカ:要件に応じてユーザー部門が主体的に選ぶ。
  • 日本:SAP等ERPパッケージを現行組織、現行業務にあわせて大幅カスタマイズ、アドオン開発してします。FIT&GAP分析までは良いが、GAPを業務改革で埋めるのではなく、追加開発やパッケージのモディファイで埋める。
  • アメリカ:ベストプラクティスに基づき作られているSAP等ERPに組織や業務を変えることで業務改革を行う。もちろん差別化要素は残す。
★日本のIT部門(&IT事業者)の課題
  • 丸投げ状態が長く続いてきた。 社内でできないことを有償コンサルではなく無償でSIerにやらせる。
  • SIerは商品やサービス代金にこのコストを上乗せする。 上流委託時点で採用ソリューションが決まってしまう。
  • メインのSIerが取り扱っていない、解らない、新しいものは導入されない傾向。
  • 更に御用聞きベンダーだと、他社事例重視となってしまう。
  • シャドーITが突破口と成り得る。 JR東日本の運転席(前後)に iPadを導入。従来、FAXでやり取りしていたタイムリー(?)な運行状況を合理化・省力化および真のリアルタイム化。 業務部門のやる気、変えようという強い意志で導入が進んだ。
  • 業務から始まり、経営層のITに対するマインドは高まってきている。 意識の高いトップとそれを実行できる人・組織(≠IT部門?)があれば、改革は進められるかもしれない。
  • IT部門に権限がなく、また新しいことをやりたくないIT部員の場合、難しい。 IT部門の高齢化も問題。 また日々の運用に追われているIT部門業務も問題。来る仕事でいっぱいいっぱい。コスト部門と見れ過ぎ。
  • 新しいものを現場の人は気に入っても、上にいくと導入までなかなか進まないことがよくある。新しい技術を上に通すのが難しいケースも少なくない。 外部ベンダーが役員と話せる関係性が作れていないと相当難しいことがある。
  • 日本の文化は"赤信号、みんなで渡れば怖くない"。 従い、クラウド利用がある程度進むと、一気に爆発的に浸透する可能性あり。 過去のERPブームやブロードバンドの普及等の例を見ても。 クラウド使っていない会社は二流と言われてしまうような流れ。
  • クラウドだけでなく、タブレットも月次契約したいという動き。 iPadレンタル等。 IBMが法人向けに解約違約金無しの月額iPadレンタルを既に始めている。
★オープンソースとベンダーロックイン
  • ベンダーロックインされないようにベストオブブリードにしていたら、バラバラでまとまりのないシステムになってしまったケースあり。
  • クラウドを月次契約したいという動きもある。iPadをレンタルとか。
★機械学習
  • 機械学習が大きく進化している。 日本語で理由まで書いてくれるアルゴリズムが出てきている。
  • 人工知能系で最も進んでいるのはワトソンではないか? 
  • ワトソンは、大きなデータプールから、タクソノミー(分類)を作るのが速い。 そのうち、どう分類するかという従来人間が考えていたフォークソノミーまで勝手に作るのではないか?
  • 今のアルゴリズムは人間が作っている以上人間が介在しているし、人間がゴールを設定しているはず。 人間がゴールや方向性を設定をしなくなると、膨大な誤りのデータプールを機械が勝手に解釈し、勝手に目的を持ち始めると暴走する可能性があるのでは? ターミネーターの世界。
  • 2020年にワトソンが世界を牛耳っているかも知れない。 データ・情報を食わせるとどんどん賢くなる。 データアナリストが失業するかも。 (それ以前に、クラウド&SDNでサーバーエンジニア、ネットワークエンジニアが失業しているかも知れない)
  • 既に証券取引のアルゴトレードのように、人間では追い付けない分析・判断・処理スピードで全てのことが行われてしまうかもしれない。 (ナノ秒の世界)
  • といいつつも、集まったアーリーアダプターであるはずの30名の中でワトソンのデモアカウントを持っているのは1名のみ。 (確かIBMさんもいたはずなのに・・・)
★IoT Internet of Things
  • IoT関連で政府が一番力を入れているのは農業のIoT活用ではないか?
  • 外部電源不要のセンサーも進化している。 HadoopとIoT推進組が一緒になったらかなり改革が進むか?
  • しかし、IoTのデバイス単体ではビジネスにならないのでは? 全体のビジネスモデル、エコシステムを構築しなければ難しいのではないか?
  • インテルのセンサーで膨大なデータを収集、クラウドの集め、その膨大なデータを処理をするのにインテルのCPUが必要というモデルは成り立たないのか?(いつものインテルモデル) → 難しいとの回答。
  • 自動車の自動運転系、製造業のビッグデータ分析
  • リスク回避のためのビッグデータも。例えば、農業で悪天候を予測したり、鉄道:車輪の摩耗率を検出、故障の未然防止など。
★農業IT
  • 農業ITは、農業ノウハウの共有による生産性向上、品質向上が望める。 但し、組織の壁があり。(農協同士の協力関係)
  • ビニールハウスとデータセンターは、すごく似ている。 温度、湿度管理ノウハウを生かせる。 
  • 地域の問題も課題。 自立して経済圏を作る人たちがいない地方もあり、東京からお金を引っ張ることが目的になってしまっているケースもある。
Comment(0)