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成長請負人:グロースハッカーとは?

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以前、ITmediaの会合で頂いた本:グロースハッカーを未読の本の山から発掘し、やっと読むことができた。

グロースハッカー(ライアン・ホリデイ / 佐藤由紀子 / 加藤恭輔)
http://booklive.jp/product/index/title_id/240987/vol_no/001

グロースハッカーという聞き慣れない言葉。ハッカーって、悪者? いや、以前より(HRDの平田先生の受け売りで)何度も説明しているように、”ハッカー (hacker) とは、高度なIT技術力を持ち、課題を自ら解決することのできるエンジニア”のことである。高度なIT技術を駆使して悪いことをするのはクラッカー(cracker)と呼んでいる。 どうして日本ではハッカーが悪人のイメージになってしまったのか不思議であるが、海外ではハッカーは優秀な技術者のことを指すのである。

最近、日本でもハッカソン(hackathon) が度々開催されている。ハッカーの「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語で、お題に対してアイディア出し、企画から実際のプログラム開発やサイト構築などサービス開始に向けたプロトタイプまでを短時間(1日や0泊2日(笑)等)で作ってしまうことを競うイベントである。 このハッカソンのハックを思えば、”悪い” イメージではないことをご理解いただけるだろう。

話を戻そう。グロースハッカーとは、ビジネスの成長(グロース:growth)という課題を高度な IT技術で解決する ”成長請負人” である。

この本ではグロースハッカーに関して以下のように説明している。


  • グロースハッカーは新世代のマーケティング担当幹部である。
  • 優秀なマーケターにとって、コーディング能力と技術的な知識が必要となってきている。
  • グロースハッカーはマーケターとエンジニアのハイブリッド。
  • 製品開発とマーケティングを完全に別のプロセスとして行う方法はもう古い。
  • マーケティングの本質はずっと変わらない。顧客が誰でどこにいるかだ。
  • グロースハッカーが ”プロダクト・マーケット・フィット(PMF)” と呼ぶレベルに到達させる。
  • PMFとは、サービスと顧客(のニーズ)が完全にシンクロされている状態を指す。

別の言い方をするならば、”サービス開発者兼マーケティング担当者” と言える。
今やサービスの企画、開発段階からマーケティング活動に至るまでを一貫して担当する ”エンジニア素養のある” ハイブリッド人材が必要とされており、それがグロースハッカーである。

僕は恥ずかしながらこの本を読むまではグロースハッカーという言葉を知らなかったのだが、2010年頃登場し2012年頃から良く使われるようになったようである。

僕も元エンジニアとして、いや未だに現役エンジニアの端くれのつもりで、サービスのデリバリーやプリセールスだけでなくサービスの企画開発やマーケティングに首を突っ込んでおり、そういう意味では”グロースハッカーの端くれ”となれているのかも知れない。 この本を契機として更にグロース(企業の成長)を請け負うべく、先進事例に学んで行きたいと思う。

献本いただいた翻訳者の佐藤由紀子さん、ありがとうございました。

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