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私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

中途採用の新卒化

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中途採用を行う理由は企業によって違うとは思いますが、その多くは「即戦力」として活躍してもらうことだと思います。

しかし、最近の景気動向や採用環境などを考えると中途採用市場に「即戦力」となる人材はあまりいないのではないか?と感じます。

特に若手中途採用はその傾向が顕著です。
そうした中で、若手中途採用を効果的に行っていくためにはどうするべきかを考えていきたいと思います。

●「即戦力」となる人材がいない理由

「即戦力」と聞いて、みなさんはどういう人材を思い浮かべるでしょうか。
企業によって即戦力の定義はさまざまだと思いますが、入社してすぐに結果を出す人材といったイメージを抱く企業が大半だと思います。

営業であれば、短期間で会社が期待した売上げを上げる人材、バックオフィスならば担当する仕事をミスなくスピーディーにこなす、いわゆるプロフェッショナル人材をイメージされるのではないでしょうか。

さらに言えば、前職の経験を活かし、社外ネットワークも駆使して、新しい仕事の進め方を社内に示し、周囲に影響を与え、リードしていくマネジメント能力を持った人材であることも期待していると思います。

しかし、そうした人材は各社が欲しい人材ですので、社内での引き留めも強く、なかなか中途採用市場に出てこないのが現状です。
ましてや、これからの時代を担っていく20代〜30代前半の若い優秀な人材の流出は非常に厳しい状況です。

新卒採用も優秀な人材の取り合いが激しくなってきていますが、その背景の一つにあるのは少子化です。
今後ますます少子化が進む中、新卒で苦労して採用し、自社で育てて、戦力になった人材を簡単に手放す企業はありません。
将来の幹部候補として、他の若手社員より給与や昇進などの面で優遇する企業も出てきています。
少子化で若手の人材そのものが減少しているのですから、中途採用で若手の優秀な人材を確保するのが難しいのはある意味当然だと言えます。

●中途市場の若手人材=ゆとり世代

「ゆとり世代」という言葉が生まれて久しいですが、1987年度生まれが初代ゆとり世代と言われていますから、30歳以下はゆとり世代と言えるでしょう。
ゆとり世代の場合、あまり競争をせずに大事に育てられた人が多いせいか、なんでも与えてもらえるといった感覚の人が多いような気がします。

事実、中途採用を行っている企業のTOPや担当者から「20代から30代前半の採用面接で、新卒採用で学生から聞かれるような質問が増えているように感じる」といった声を多く聞くようになりました。

中途採用ですから、社会人としての経験をしてきているはずですし、その経験をベースに自分が今後取り組んでいきたいことを考え、自分のスキルを売り込むのが普通だと思いますが、最近は必ずしもそうではないようです。

前述したように中途採用市場に若い優秀な人材が出てこないことに加え、その年齢層がゆとり世代で受け身の姿勢の人が多い、こうした状況下、即戦力となる若手人材を採用することは至難の業だと言っても過言ではありません。
だからと言って、若手の中途採用にも積極的に取り組んでいかないと将来の人材構成に大きな影響が出るのは必至です。
こうした環境の中で、少しでも自社に合った若手中途人材を採用するには、採用する側の考え方・やり方を変えていく必要があります。

●新卒採用のような対応が必要に

面接で新卒採用のような質問が増えていると前述しましたが、新卒化しているのは質問だけではありません。
要は中途採用に臨む応募者の姿勢そのものが新卒の時と同じケースが増えてきているのです。
ですので、採用をする企業サイドには新卒採用のような丁寧な対応が求められてきています。

新卒採用と同様に中途採用向けの会社説明会を開く企業も増えてきていますし、面接も新卒採用のようにかなりの複数回数で進める企業や内定後のフォローに気を遣う企業も増えてきています。

中途採用の内定後フォローと言うと飲みに行くことを考えるTOPや担当者もいると思いますが、最近の若い世代は飲まない人も増えているので、ランチに行くことをお勧めします。

また前回「面接官トレーニング」に関してお話をしましたが、ゆとり世代の考えや思いを上手に引き出して、自社への興味関心を高め、自社への入社を決めてもらうためには、面接官も中途採用の面接に対する姿勢・考え方を新卒採用的に変えていく必要が出てきているように思います。

「中途採用にそんなに手間がかかるのか」という思いを抱くTOPもいると思いますが、中途採用が大きく変化しており、中途採用が新卒化してきている今、新卒採用同様、ある程度の手間暇をかけていかないといい若手中途人材が採用出来なくなってきているのです。

新卒同様、若手中途人材もこれからの会社を支えていく大事な人材ですので、多少の手間をかけてでも必ず採用するんだといった覚悟を持つことが重要だと思います。

若手中途採用の新卒化の流れが来ているためか、当社でも元々新卒採用コンサルティングのご依頼が多かったのですが、最近、中途採用のコンサルティングのご依頼が大変増えてきています。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

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