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【Book】『あたらしい書斎』

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あたらしい書斎

あたらしい書斎

  • 作者: いしたにまさき
  • 出版社: インプレスジャパン
  • 発売日: 2012/9/21

ソーシャルメディアにおける情報の活用、スマホ・タブレットを始めとするモバイル機器の利用、ノマドを始めとするワーキングスタイル。これらをいかに駆使して、スキマ時間を有効活用するのか。今、多くのビジネスマンにとって、重要な課題となっているのではないかと思う。

そんなご時世の中、本書はある意味で時代の逆を行く「書斎」をテーマとした一冊である。
古くから多くの「知の巨人たち」が日常から離れ、「こもる」ための空間として書斎を活用してきた。そんな書斎も、ネットやノマド全盛の時代において再定義される必要があるのではないか。著者は、そんな観点から「あたらしい書斎のあり方」を提案している。
重厚で荘厳な「書斎」を夢見る人は多いだろうが、現実的にスペースが…という人も多いのが実情。本書では、一畳のスペースから可能な、書斎の作り方が紹介されている。それを可能にしているのが、なんとIKEAの家具。デザインの良さ、価格の手ごろさ、カスタマイズ性の高さの三拍子が揃っているためであるという。
現代における書斎の基本的な要件として定義されているのが、「こもる」ための空間であるということ、そして集中の「スイッチを入れる」ための仕掛けが必要であるということ。そして実際に使われたのは、以下の様な家具たち。
L字型に配置した机をメインとサブの2つの机として利用し、イスを90 度回転させながら「モード」を切り替える。いわゆる日本的”ものづくり”の良さを凝縮したような空間作りである。目指したのは「書斎」という名の小宇宙。
これに加え、後半部分で掲載されている、学びや思索の「質を高める」ための本棚への言及も興味深い。実際に著者は、以下のような4つのエリアに分けて本を分類しているそうだ。

現在:今読んでいる本、これから読む本は机の周りに
処分:処分する本は段ボール箱に
仮置:あとで読み返す本。「保存」に回る候補として本棚に
保存:ずっと保存しておく重要な本も、もちろん本棚に

印象に残ったのは、「本棚は自分や家族が許容できる最大限のものを最初に設置しておき、その中で運用するのがベストだ」という言葉だ。本棚のキャパを超える量の本は読めない ― そんなよくよく考えれば当たり前のことに、感心させられる。
ネット時代の情報発信というと、ついついガジェットなどのツール類に目が行きがちだが、自分自身のプラットフォームとなる後方基地をどのように整えるか。そんなところにまで踏み込んだ、まさに”使える一冊”だと思う。 次の本を買うのが先か、本棚を買うのが先か。じっくりこもって考えたい。

 

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