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自分ブランディングとは

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「自分の強み」

「自分ブランディング」

最近よく言われます。


自分のブランディングをするためには、自分の強みはどこかを考えなければなりませんね。
では、どのようにしたら自分のブランディングが可能になるのでしょうか。


指揮者の朝比奈隆さん(1908年〜2001年)を存知でしょうか。

1940年にプロデビューし、2001年93歳で亡くなる直前まで現役で指揮をし、数々の情熱的な名演奏を聴かせてくれた日本を代表する巨匠です。

朝比奈さんはなんと音大を出ておられません。京都大学出身で、最初は阪急電鉄にお勤めされていました。

朝比奈さんといえば、ブルックナーの演奏で有名です。
ブルックナーの演奏では、世界広しといえども、未だに朝比奈さんの右に出る者はないと思います。

今でこそ誰でも演奏するようになったブルックナーですが、朝比奈さんは、「ブルックナーは客の入りが心配」と言われ、ブルックナーが特別なクラシックマニアのものであった時代から演奏し続けていました。
飽きもせずブルックナーばかりを何十年も演奏しつづけ、70歳を超えたころから素晴らしくなっていくのです。

私が朝比奈さんの演奏会に通い始めた晩年の頃は、本当にチケットが手に入りにくく、東京での公演は大変な思いをして演奏会に足を運びました。
朝比奈さんの指揮はとても器用とはいえるようなものではありませんでしたが、不思議なもので、オーケストラも一生懸命合わせようとするせいか、重く深い響きが生まれます。朝比奈さんの人間力の桁外れの素晴らしさと、ずれそうでずれないぎりぎりのところでふんばっている何か、があるのですね。
近年の指揮者はテクニックの素晴らしい方が多く、オーケストラが気持ちよく合ってしまうので、逆にこういった愚直で素朴な響きがうまれにくいのかもしれません。
特にブルックナーのような作曲家は、洗練さとは縁遠い作曲家なので、そういった響きが朝比奈さんの指揮に合っていたのだと思います。彼の指揮のもと、国内のプロオーケストラが夢中になって、まるでドイツの名門オーケストラのような響きで演奏していました。


朝比奈さんこそ、意識されたかされないかは別として、「自分ブランディング」を行えた方だと思います。

クラシック界でのブルックナー交響曲への関心の薄さ、興業的な観点での採算がとりにくさという、二重の逆境を、敢えて逆手にとって、生きる道にしていった朝比奈さんの慧眼。

そして、認められようが認められまいが続けるしつこさ。
朝比奈さんの指揮者デビューは遅かったのですが、師であるメッテルからは「一日でも長く生きて、一回でも多く舞台に立て」と言われ、その指導を死の直前まで守り続けました。



「自分ブランディング」などと言葉で書くと、一見格好のよいものに感じますが、誰も行かないような茨の道であるのです。

その茨の道を通り抜けた者だけが、自分ブランドという輝かしい冠を手にするのでしょう。


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