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ライフワークとしての学びを考えます。

目線が合うチームは良いチーム

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仕事先でなかなか目を合わせてくださらない方がいました。
こちらから目を合わせようとすると、目をそらしてしまわれるのです。
一つには恥ずかしいというお気持ちがあるかもしれませんね。

しかし、目が合わないということは、アイコンタクトがとれず、なかなか気持ちが伝わりません。

「上手いなあ」と感じる息の合った音楽を奏でる室内楽のグループは、とにかくよく目を合わせて演奏しています。

アップルのジョブズはよくアイコンタクトをとっていたそうです。
それは、目で相手とのコミュニケーションをはかるためのもの。
それを野中郁次郎さんは「目で触れる」と言っています。

「一橋大学名誉教授 野中郁次郎氏 −今の時代に求められるリーダーとは」より引用しましょう。

    ・・・・(以下引用)・・・・

そうです。触ったほうがいい。ただし「目で触れる」というのもありますよね。これは全人的に相手と向きあうときにも生まれる状態です。スティーブ・ジョブズが相手を必ずファーストネームで呼び、相手の目を見て話しかけるというのも、実は目で触れているのです。フィジカルにやり過ぎると最近はセクハラになりますが(会場笑)。いずれにせよ触れるというのは、まっとうに、そして全人的に向き合うという意味を含んでいるのです。

    ・・・・(以上引用)・・・・

身体的感覚というのは、人とのコミュニケーションを密にします。

もちろんアイコンタクトも大事ですが、野中さんのおっしゃるとおり、本当は、人は「ふれあう」ことが一番よく伝わります。

今春来日予定の、1922年生まれの名バイオリニスト、イヴリー・ギトリス。

彼は、あるときの演奏会で、ピアノ伴奏だけが弾く間奏の場面でピアニストの背中に弓を当てていたことがありました。
ピアニストは「弓を当てられたときは驚いたけれど、彼は弓を介して私にふれることで、密なコミュメーションをとって音楽の息づかいを感じようとしていた」と言っているのを演奏後聞いたことがあります。

ピアニストとバイオリニストのコミュニケーションは、クラシックにおけるピアノとバイオリンの舞台配置からいうと頻繁にアイコンタクトがとれません。
つまり、ピアニストは横を向いて弾いている位置は変えられませんし、バイオリンはバイオリンで聴衆の方を向いて演奏していますから、ピアニストバイオリニストを見ようとしても大抵は背中しか見えないわけです。

そこをギトリスは、ピアニストの背中を弓でふれることで、コミュニケーションのバウンダリーを一つはずし、音楽を深めたのです。

音楽における「あうんの呼吸」も、やはり身体的からくるもの、密なコミュニケーションから来るものなのですね。

私は、合唱チームビルディングというプログラムを行って、企業のコミュニケーションを深める支援をさせていただいています。
音楽も、ビジネスも、お互い共通するものがあると深く考えさせられます。

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