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ライフワークとしての学びを考えます。

やさしく言えないのは自分が分かっていないから

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私は、今はビジネスの仕事をしていますが、元々は音楽畑出身です。
ご縁あり、プレゼンテーションを聞かせていただく機会が増えて来た時期がありました。

そのとき痛切に感じたことがあります。

なぜ、「簡単なことをわざわざ難しくおっしゃるのか?」ということでした。

言葉の選び方一つとっても、難しく堅い言葉を使うので、文章を読み上げているような感じになり、心に入ってきません。
つまり、国会でお役所が書いた文章を読み上げているような雰囲気に近いのです。

これは、企業によって特徴があり、大抵は上司の方々、さらには社長さんがお手本になっているので、同じ企業だと皆さん似ているのです。
そして、皆さんは、無意識のうちに組織に染まってしまっていて、なかなかそこから抜け出すことはできません。

そこで、難しかったところをプレゼンの後に質問をすると、親切にご説明くださるのですが、そこでさらに複雑になってしまって分からなくなってしまうということが往々にしてあります。簡単なことを、難しい言葉に置き換えてしまうということは、もしかしたらば、ご自分がまだ未消化のままお話になっているのではないかということを感じ始めました。

池上彰さんは、難しいことをやさしく説明してくださいます。
しかし、それは池上さんの中で、内容を深く理解しているからこそできることなのです。

難しいことを、中学生でも分かるようにやさしく説明する、ということは、本当に良く分かっていないとできないことです。子供向けの科学の本や辞典とか、初心者向けのビジネス書など、簡単に面白く書かれている良く出来たものの著者をみると、実は本当に難しいところまで深く理解できている人が書いているのです。


「『やさしく言えるから管理職』――できないのは自らが理解していないから」という、「クロネコヤマトの宅急便」の生みの親である小倉昌男さんの記事を読みました。

     ・・・・(以下引用)・・・・

『やさしく言えるから管理職です。聞く側(部下)が難しく感じるということは、理解できないということです。理解してもらわなければ、部下の方は会社が求めている行動が十分にできなくなってしまいます。人は理解していないことはやりたくないし、できないものです。部下を含めた社員がこれでは、組織はまとまりません。だから管理職が必要なのです。管理職の一番の仕事は、きちんと理解してもらえるように伝えることです』

 管理職に求めることを明確に伝えたのです。さらに、

『やさしく言えないというのは、管理職自らが理解していないということだ』

とも言っています。管理職が、自らの上司から自分が言われたことを単に伝えるだけになっていたり、伝える相手(部下)の理解度を考えずにしゃべっていただけではいけない、と教えたのです。

・・・・(以上引用)・・・・


やさしく語ることは、相手の立場に立つということです。

そのためには、まず自分ができる限り深く理解をして、そして、相手の立場に立って「もし自分が初めてこの話を聞くとしたら」という想像力を働かせなくてはなりません。

プレゼンテーションも、自分が管理職でなくても、その場のお客さんを前に講演するのですから、考え方としては管理職と同じです。

やさしい言葉で語る、つまり「自分の言葉で語る」ことの大切さを感じています

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