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ライフワークとしての学びを考えます。

強い批判に感謝する人などほとんどいない それでも悪い知らせを伝えるか?

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「この人はあなたの悪口を言っていますよ」
「あの人はなたのことを上の人に対して悪く言っていますよ」

良かれと思って伝えてくれる人がいます。

仕事上の問題で「その意見に反対が起きている」というのであれば、しっかりと聞かなくてはならないと思いますし、助けていただいた事もあります。

しかし、「悪口を言っている」というだけですと、せっかく聞いてもあまり良い方向に行かないことのほうが多いような気がしています。

悪い評判を伝える使者は第三者です。
「悪口を言っている」と言っても、直接本人から聞いたわけではないし、ご本人をお会いしているときには悪い感情を持っていることは感じられません。大人だから露骨に出さないようにしているのかもしれませんが、事実は分かりません。分からないことに神経を使うよりは、その方との関係を今まで通り大切にしていくことのほうが良いと思っています。

ただ、使者の言葉は、小さな刺のように確実に心の中に残ります。
次にお会いするとき「本当にそんなことをおっしゃっているのだろうか」と言う気持ちはどこかにあり、今までとは少し違ってしまう場合があります。
大なり小なり疑心暗鬼になってしまうのです。

そういうときは、自分の方の問題になります。
次にお会いするとき、または電話でお話するときが自分との勝負だと思っています。
こちらが感じている違和感は大抵相手に伝わっています。
そうなると、簡単に良い関係のバランスは崩れます。
相手を心から信じて、お会いした瞬間からできるだけ良い人間関係が築けるようにしなくてはならないと思っています。

私は、もし人が「あの人はあまり良くない」と私の知り合いのことを言っていたとしても、よほど仕事に関係することでない限り本人には伝えません。
もし伝えるとしても伝えるときは、相当に覚悟して、注意をはらいます。

このことは、以前のブログ「『悪い知らせを伝えた部下を"斬る"上司」』強い批判を受け入れる準備はできているか?」にも鈴木貴博さんのコラムから引用させていただきました。
「それでも上司に悪い知らせを伝える」と決めた人は、いざというときのために、同時に転職エージェントに電話しておくというのが、意外といい解決策かもしれない。」とおっしゃっています。
それほど、難しいことなのです。

悪い評判を伝える使者は、「よかれと思って」という気持ち、または単なる雑談の一つとして言っていると、知らないうちに悪い結果になっている場合があります。
それがつもりつもると、組織に影響を与えることすらもあるのではないかと思います。

以前、仕事に行っていた団体で、マッチポンプのようにあらゆるところで悪い情報を触れ回る使者になっている人がいました。良かれと思って言っているのだと思います。危ないなあと思っていました。次第にその組織は内部から小さな破綻が始まりあっというまに弱っていったのです。残念ながら今はご縁がなくなってしまいました。


もし本当に改善したいと良心を持っているのであれば、ご本人から伝えていただくようにその場でお話するのが一番だと思います。

しかし「リア王」でリアに本当のことを言ったコーディリアがどうなったか。
物語は人間の普遍的なエゴを見事に描き出しています。

もし、良心から伝えるとしたら。

強い批判に感謝する人はほとんどいないのです。

伝える方は、覚悟がいると思います。

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