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JavaOne基調講演でJava EEの開発のごたごたも無事に収まったか

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 米国サンフランシスコではJavaOneも開幕。先頃あった、OracleがJava EEの開発から手を引くのではなんていう不穏な噂を払拭できるのか、注目の基調講演も行われた。

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 基調講演は、インテルのJavaの活用およびJavaコミュニティへの貢献の話、さらには火星探査でもJavaが活躍している話があり、その後にやっとJDKライブラリ、Java SE、Java EEの話題となった。OracleのJava Platform Groupのバイスプレジデント ジョージ・サーブ氏から、まずはJDK + Dockerの発表があった。これでDockerを活用して開発生産性を高められるようになるとのこと。

 チーフアーキテクトのマーク・レイノルド氏は、近日中にJava SE 9の提供をすると発表した。そしてJava SE 9のトピックとして紹介したのがJava Shellだっだ。Java ShellはインタラクティブなJavaの実行環境で、プログラムとしてJavaコードを入力するとその評価を得ることができるものだ。「これを使ってAPIを探求できます」とレイノルド氏。デモでは、かなり楽しそうにJava Shellを扱っており、開発者にはかなり面白いツールとなるのだろう。

 続いて説明したのがProject Jigsawだ。これはJavaプラットフォームのモジュール化であり、それにより拡張性も得られると言う。かなり大きな変更だが互換性もあり、このプロジェクトはかなりの進捗があるとのことだ。実行記述型でエクスポートもでき、これはライブラリやフレームワークではなくJavaの上にあるものだと説明した。

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 Java EEについて説明したのは、Cloud Application Foundationのグループ・バイスプレジデント アニル・ガウァ氏だった。Java EEの開発は健全に進められており、活気もあると言う。「Java EEは成功に向かっています。オンプレでもクラウドでも走るようになっています」とのこと。無事に、開発のロードマップも明らかにされた。最終的なJava EE 8を来年末までには開発し提供する。Java EE 9については、並行して開発を走らせていくとのことだ。

 Java EEの開発にコミットすることを証明するかのように、世界中のコミュニティからJava EE 9への期待のコメントがあった。なぜか日本からのコメントが多くちょっと驚くことに。

 ステージには、日本電気 クラウドプラットフォーム事業部 事業部長 岸上信彦氏、日立製作所 ICT事業統括本部 企画本部 事業企画部 部長代理 村上貴史氏、富士通 ミドルウェア事業本部 シニアプロフェッショナルエンジニア 数村憲治氏、損害保険ジャパン日本興亜 取締役常務執行役員 浦川伸一氏が登壇した。クラウドでの開発の部分に期待し、マイクロサービス化のところも、各社の方向性に一致するとの声があった。

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 実は今回の基調講演では、マツダのITソリューション本部 主幹 吉岡正博氏も登壇し、マツダでのJavaの活用事例について説明しており、やたらとJavaコミュニティの中で日本の存在感が目立つものとなっていたのだ。

 とりあえず、一連のJava EEの開発に対するごたごたには、公の場でOracleがきちんと答えた形になった基調講演になっていたのではないだろうか。

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