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ハイブリッドクラウドを強力に推し進めるために、IBMはPaaSであるBluemixを強化する #IBMInterConnect

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 IBMのカンファレンスイベント「InterConnect2015」に参加するためにラスベガスに来ている。今回のイベントはクラウドとモバイルをテーマにしたもの。初日はクラウド・デイで、主にハイブリッドクラウドに関する発表が多数あった。

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 ハイブリッドクラウドを実現するために新たに提供するのが「IBM Enterprise Containers」。これはDockerにIBMが手を入れて、エンタープライズ向けの信頼性やセキュリティ性を搭載したもの。これで既存のエンタープライズ用途のオンプレミスのアプリケーションなどコンテナに載せて、自由にハイブリッド環境を移動できるようにする。

 もう1つ力を入れて発表したのがBluemix関連の拡張だ。新たに作ろうとするアプリケーションに利用するために、外部のWebサービスなどのAPIをマッチングして探し出してくるという「API Harmony」を提供する。これでは世界最大規模のAPIの知識ベースが利用される。これは、Bluemixから使えるようになる予定だ。

 そしてもう1つがBluemix Local。開発時にパリッククラウド上では行いたくない、行いたくてもレギュレーション上できないというような場合にも、これならプライベートクラウドでBluemixが利用できるようになる。ハイブリッドクラウドというのであれば、開発者はこのLocalは確かに欲しいツールになるかもしれない。

 ハイブリッドクラウドというと、OpenStackやCloud Fundryというキーワードが出てくる。もちろん今回のIBMの取り組みもそれら業界標準に準拠するものだ。とはいえ、それで複数のクラウドサービスをまたがるような、マルチクラウドを実現するというメッセージはIBMからは出てこない。むしろ、Bluemixにしかできないサービスを提供することで、クラウドの世界はSoftLayerとBluemixに囲い込む戦略にも映る。もちろんIBMに訊ねれば「業界標準に準拠するのだからベンダーロックインではないですよ」という答えが返ってくるだろう。

 IaaSだけを提供していると、ユーザーはいつでもサービスを乗り換えることができるだろう。ところが、その上で動くPaaSの部分に依存するようになると、簡単にサービスプロバイダーを変更するわけにはいかないかもしれない。BluemixのようなPaaSのできの善し悪しが、今後のクラウドベンダーの勢力地図を書き換えることにもなるかもしれない。

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