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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

社内でIMを使っていますか

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 先日、ITmediaエンタープライズのeWeekの飜訳で、「企業で使うIM、受け入れられているのか?」という記事が掲載されていた。企業ではYahooやMSNなどのコンシューマ向けで無料サービスのインスタント・メッセージを使うにはリスクがあり、エンタープライズ向けの安心、安全なIMが求められているようだ。

 IMを使うことで、非同期な電子メールでの情報交換とは違った形でコミュニケーションをとることができ、業務の効率も上がるというのは理解できる。以前所属していた会社には在宅勤務の制度があったのだが、このときにもわざわざ電話をかけるほどでもないちょっとした情報のやりとりや、気晴らしの業務とは直接関係のない会話をIMを使っておこなっていた。在宅勤務の状態は仕事環境としてはかなり孤独で、このちょっとしたコミュニケーションはけっこう重要だ、という利用者のアンケート結果もそのときには出ていた。

 IMの利用に規制がかかっていない環境であれば、自宅にいる家族と接続して「帰るコール」の代わりに使っているという人もいるだろう。仕事の状況でも電話会議ならぬ、チャット会議を駆使しているという人もいるかもしれない。メールよりもIMの利用頻度が高い人も、いまでは増えているのかもしれない。

 最近のIMは機能も豊富で、ファイルのやりとりもできる。さらに、音声での会話も可能だ。確かにこれを、うまく利用しない手はないのかもしれない。とはいえ、先の記事によると公衆ネットワーク経由で使われるIMには、ウイルスやプライバシーの問題、セキュアなID管理機能の欠如、高度なロギング、検索機能の欠如などの課題があるという。そのため、これらの問題を解決するエンタープライズ向けのIM製品への要求があるというのだ。

 話はごもっともであり、実際、セキュリティ監査などが実施される際には、P2Pでファイル交換を行う機能があるためか、Winyなどと同等に各種IMの利用を制限しているかというチェック項目が挙がってくる。とはいえ、ちょっとしたコミュニケーションに高い費用を払うのもなぁと思ってしまう。多機能、高機能で安心、安全なものではなく、シンプルで安心なIMという選択肢があってもいいのでは。チャットで送れる文字数に制限があり、ごく短いテキストのやりとりしかできないものがあれば、情報漏えいの心配もかなり小さくなるのではと考える。

 機能を増やし強化してセキュアで使いやすいものにするという発想ももちろん重要だが、機能を削ぎおとしシンプルにすることで安全になるという場合もありそうだな、と考える今日このごろ。

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