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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

SIというとソフトウェアインテグレーションになるかもしれない

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 先日のオラクルの小売業界向けの戦略発表会に参加した際に、システムインテグレーションからソフトウェアインテグレーションへという話が、さりげなく披露されていた。

 そのときは、これは1つの方向性としてあり得る話だなと感じた。つまりは、ハードはどれにして次にOSを選び、そしてミドルウェア、開発環境、アプリケーションパッケージなどをさらに選択しシステムを一から構築するのではなく、既存のアプリケーションをうまく組み合わせるだけで、顧客にシステムとして提供すること。ここ最近、数多くのアプリケーションを買収しているオラクルだからこそ言えることなのかもしれないが、私が感じたのはSaaSというサービス提供形態も含め、じつはソフトウェアというか、むしろサービスインテグレーションの方向に向かっているのではと考えたのだ。

 ハードウェアに近いシステムインフラの部分では、仮想化という考え方が普及してきていて、リソースをプールして適宜アプリケーションに割り当てるようになってくる。そうなると、アプリケーションの部分とシステムインフラの部分は分離されることになる。アプリケーションからは、インフラが実際にどのようなハードで動いているかは関係なく、つねに標準的なプラットホームにしか見えない。パフォーマンスが足りなくなったらリソースが追加されるのだが、アプリケーション側ではなんらそれに対して考慮することはない。

 SaaSではこれが、SaaSプラットホームとその上のサービスということになる。プラットホームは、物理的に手元にあってもインターネット越しに利用できてもどちらでもいいのだ。

 もちろんこれは理想的な形でもあり、まだ現実的ではないかもしれない。しかし、確実にこの方向にシステムの構築、運用の方法は向かっているように感じている。特定の目的専用のシステムインフラというのは、いまやあまり有効な選択肢ではない。ソフトウェアインテグレーションが当たり前の時代には、上側のアプリケーションをうまく組合せ、カスタマイズさせて顧客にサービスとして提供する仕事と、堅牢で柔軟性が高い仮想化された標準システムインフラを構築、運用する仕事は分離されるであろう。そしてSIerは、ソフトウェアインテグレーションを得意とする会社と、そのときに存在するハードウェアをうまく組み合わせシステムインフラを提供する会社の2つに分かれていくのではないだろうか。

 ところで、システム/ソフトウェア/サービスと、どれをとっても頭文字はSなので、SIという略称はなんら変わりがない。これは、ちょっと混乱するかもしれない。

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