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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

2009年にはビジネスPCの5%がシンクライアントにというのは少なくないか

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 個人情報保護法全面施行を前後して、相次いで発表されたシンクライアント。というか、記憶装置のないPC。昔からUNIXの世界にいる人間は、なんらX端末と変わらないじゃないか、と思ったりしているはずだ。かのオラクルがネットワーク・コンピュータ(NC)を発表したのは、1996年のこと。もちろん、これ以前からX端末はけっこうエンジニアの仕事環境では使われていたように思う。実際、私がいた雑誌の編集部では、X端末やディスクレスのSunのワークステーションを使い、LaTexで編集作業をおこなっていた。

 NCのBootメッセージかなにかには、BSDうんちゃらとあった記憶があるので、まさに仕組みはX端末というかディスクレスのUNIXのようなものだったはず。NCは、当時の記事を掘り起こすと、メモリ8MB以外は記憶装置がないとのことだ。今となれば、1GB程度のメモリが載っているシンクライアントは本当にThinなのだろうか、なんて考えてしまう。とにかく、NCの発想は、現在になって間違っていなかったことが証明されたわけだ。当時は、仕組みを支えるネットワークインフラが整っていなかったということか。

 2005年1月の2004、2005年度に10,000台のディスクレスPCを導入するという日立の発表には、ちょっとびっくりした。後を追うようにハードウェアベンダーは相次いで、シンクライアント製品の発表へ。IDC Japanは、2009年に国内シンクライアント出荷台数は47万台、ブレードクライアントが44万台でビジネスPC出荷台数のおよそ5%くらいになると予測している。個人的には、もうちょっと増えてもおかしくないような。無線LANやWiMAXも急速に普及すれば、モバイル環境でデータを持ち運ぶ危険を犯すのは、フリーのライターくらいかもしれない。いま、企業のIT担当者は個人情報の漏洩に対して急激に臆病になりつつあるから、4年もあれば2桁パーセントくらいまで出荷が延びても誰も驚かない気がするのだが。

 これまでは、メモリもディスクもたくさん搭載されていればそれだけ「すごいマシン」だったのだが、このまま技術が進めば、「俺のPC(端末かな)はこんなに少ないメモリで動いてるんだぜ」ってな自慢をするようになったりしませんかね。

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