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コピペを防ぐには?

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先日、東京大学の教養学部の告知がネットに掲載され、話題になりました。

あるレポートで「約75%がインターネットに公開されている文章の引き写し」だったので、「全科目の単位を無効とする」といった厳しい措置を取った、という内容です。

この告知の「あるレポート」の「ある」を見落とし、「学生の7割以上がレポートをコピペしている」と早とちりする人がネットで続出している、といった記事もありました。

東大で7割以上がコピペ、というのは勘違いでしたが、レポート作成にコピペが蔓延している、というのは「STAP細胞」の論文の不正発覚時にも話題になりました。

コピペルナー」、「影武者」といったコピペをチェックするためのツールも登場しています。

提出された論文が"他大学の学生の論文が完コピされていた"とツイッターで嘆いている先生もいます。

東大教養学部の告知の中に、「他人の文章の無断借用は剽窃であり、その行為が学問倫理上許されないこと」とあるように、コピペは許されることではありません。

コピペをツールでチェックしたり、コピペを嘆きたくなる先生の気持ちは分らなくはないです。
でも、それってどうなんでしょう。

ツールでチェックするのは、もう学生がコピペしてしまった後ですよね。その前に、教育者としてやるべきことがあるのでは?
ツイッターで嘆くのは言語道断です。周囲の他の先生に愚痴るのとは異なり、ツイッターは仲間内だけが見るものではありません。それがわからないのでは「バカッター」と同じです。教育者以前の問題です。

コピペした学生を非難し、馬鹿にしても、何も解決しません。

そもそも、なぜ、学生は、コピペしてしまうのか。
そこを理解し、きちんと指導して解決してあげなければ、コピペは防ぐことはできないと思います。
「大学全入時代で学生の質が下がっている」、「俺たちの時代には考えられない」なんていう人がいますが、私が学生の頃と比べれば、今の学生はずっと真面目です。また、私たちの時代には、インターネットもなく、手軽にコピペできる環境ではなかったので、比較しても仕方ありません。

コピペ防止策として、おすすめの本があります。

著者の山口裕之先生は、徳島大学総合科学部准教授です。
「なぜコピペしてしまうのか」から、「コピペと言われないための書き方」、「文章の構成で注意する点」、「提出の仕方」まで、『ハイブリット車は環境に良いか』という架空のレポート課題を例に、「なぜ、そうすると悪いのか」、「実際に、何をどうすればよいのか」、「どうして、それがよいのか」が、具体的に分り易く書かれています。

読書力のある人なら1時間ちょっと、あまり本を読まないという人でも2,3時間あれば読み終わるはずです

と「はじめに」にあるように、とても読みやすく、スラスラと読み進めることができます。
大学生だけでなく、高校生、中学生でも読めると思います。
ページ数も本文は100頁に満たないので、あっという間に読めてしまうのですが、ポイントを押さえてあるので、しっかりとしたレポートを書くための知識としては十分な内容です。
最後には、「チェックリスト」がついていて、それにしたがって繰り返し練習していけば、「知識」だけでなく、レポートを書くための「技術」も身に付けられるようになっています。

「言葉」についての説明が素晴らしく、

秘密は、文末の「いわれている」という言葉にあります。これは自分が良く知らないことや調べていないことについて書いても気にならなくさせてしまう「魔法の言葉」、はっきり言えば「ごまかしの言葉」なのです。
「人それぞれ」という言葉は、一見すると相手を尊重する「いい言葉」だと見せかけておいて、その実、相手の意見をまともに聞かないで切り捨てる言葉です。
ためしに、「思う」を消してみましょう。ほら、なにか気分が落ち着かないでしょう。このように断言するためには、強力な根拠や証拠が必要です。「単なる思い」ならぬ「確固たる意見」を述べるうえで必要なものは、根拠や証拠なのです。

ハッとするような内容が説得力を持って伝わってきます。

特に、「人それぞれ」については、「おわりに-民主主義とレポート」の中でも、その言葉の持つ危うさに触れられていて、なぜ、現代社会でレポートを書くスキルを身に付ける必要があるのか、改めてその重要性に気付かされます。

学生や、学生を指導する先生はもちろん、現代社会を生きる多くの人に、ぜひ、読んでもらいたい一冊です。

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