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レビュー会議で欠陥の修正方法を考えることは正しいか?

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レビューを複数人で実施し、検出した欠陥を会議体で報告するのは一般的なレビューの方法として浸透していると思います。その会議の中で欠陥を指摘するのですが、あわせて欠陥の修正方法も検討しているという形式も少なくありません。私の研究グループで実施したアンケートの回答700件において、レビュー会議で欠陥指摘とあわせて修正方法も検討しているかどうかという質問に対し、欠陥の指摘とともに修正方法も検討しているという回答が2割程度ありました。

これまでレビュー会議での発話の分析や指摘された欠陥の分析から、私はレビュー会議で修正方法を検討することについて次のように考えています。レビュー会議で指摘された欠陥の全ての修正方法を話し合うことは効率向上を妨げるので控えたほうがよいと考えています。そもそも修正すべきかどうか判断が必要な場合、修正できたとしても修正が難しい場合、波及範囲が大きく修正の際に他の担当者とも相談が必要な場合には相談したほうがよいと考えています。

ですので、本エントリのタイトルに対する答えは次のようになります。全ての修正方法を考えるのは効率上の問題でやめた方がよいが、修正が難しい波及範囲が大きいといった場合には考えたほうがよく、個々の欠陥によって修正方法を考えるか決めたほうがよい。

修正方法を会議参加者全員で考える場合でも修正担当者に任せる場合でも指摘と修正方法の検討は分けたほうがスムーズです。一通り指摘が終わった後に、指摘間の矛盾やそもそも指摘された欠陥を修正すべきかを全体感をもって考えたほうが効率が上がるからです。

レビューには効果や効率に応じて、もっと濃淡をつける(時間をかける場所とそうでない場所を明確にする)ことが必要だと感じています。修正方法を考えるかどうかも濃淡をつけることの一つです。私が担当するレビューのセミナーでは、様々な局面でレビューの濃淡をどのようにつけるかを紹介しています。次回は2014/6/3に名古屋で紹介します。同セミナーを5/27に東京で実施したときのものです。詳細と申込みはこちらから。濃淡をつけたレビューの実施手順を書籍でも紹介しています。

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