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計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

情けないミスをしても淡々と指摘を聞く/同じ単純ミスが複数あっても淡々と指摘できるスキル

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レビューで同じような情けないミスをしてしまい、恥ずかしくてミスの指摘や改善方法がしっかり聞きとれず、言い訳し続けたり謝り続けたりするという経験は誰にでもあると思います。指摘側になると同じ単純ミスをたくさん見つけると何度も指摘しているうちに、腹が立ってくるということもあるのではないかと思います。

ミスの程度やレビューにどのような参加者がいるかにもよるので一概には言えませんが、何度か経験すれば「誰にでもあること」とこれらの恥ずかしい思いや腹が立ってくる思いをコントロールできるようになります。客観的な視点に立つきっかけを作るのを習慣づけるのはコントロールできるようになるための一つの方法でしょう。私の場合は「んー。ひどい。これはこれまで見た中で何番目にひどいものだろうか?」と考えるのを習慣づけるようにしています。少し客観的になれたら、自分でミスしているときは「これが自分だ。次から直していこう」と考えるようにしています。他人のミスを指摘しているときは「自分が同じ立場になったら同じミスをしていないとも限らない。もっとも早く間違いを直すためには何を伝えたらよいか」と考えるようにしています。もちろん訓練が足りずうまく対応できない場合もあります。

ソフトウェアレビューの活動では上のような状況が起こることが多く、いちいち言い訳していたり怒っていたりするとレビューの効率が下がります。適切な教育的指導が必要な局面はあると思いますが、ミスを隠したり言い訳したりするのに必死になっていたり怒ってしまうと効果が得られにくくなります。そのことを意識するともう少しレビューへの抵抗感が減ってくるのではないかと思います。

私自身のレビューでの経験も含め、アンケート、レビューに関する相談会や共同研究において指摘欠陥やレビュー会議のビデオの分析をすることによって「これはできていないと効果が出にくい」と感じている前提をまとめ、@ITで連載記事として公開する機会をいただきました。連載第1回目は「レビューで失敗しない8つのポイント」です。上述の淡々と聞く、淡々と指摘できる点も前提に含まれています。全然できていないということもこれくらいできているよということもあると思いますが、お役に立てばと思います。

 

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