オルタナティブ・ブログ > 森崎修司の「どうやってはかるの?」 >

計測できそうでできない多くのこと。エンピリカル(実証的)アプローチで。

大食いレビューア - 食べ物ではなくソフトウェアレビューで -

»

詳細がわかっていない大量のドキュメントやコードの潜在的欠陥を短時間で指摘する方がいる。私はそのような方を「大食いレビューア/インスペクタ」と呼んでいる。ご本人の前で「大食い」は失礼なので、呼んでいるのは私の心の中のつぶやき程度であるが。読者の身の回りにもいるのではないだろうか。

けれども、私はまだ大食いレビューアに関する報告や文献をみつけられていない。多くの文献では、レビュー対象をきっちり理解するフェーズ、それに基づいて指摘をするフェーズを前提として書かれている。理解するスピードや指摘する時間の長さを具体的に示している文献もあるが、私のイメージする「大食い」とはかけ離れている。詳細がわかっていない状態での大食いレビューアについて公開されている報告や文献があれば紹介していただければと思う。

大食いレビューアの観察がしたくて、被験者になっていただきたいとお願いをしたことがあるが、コンサルタントとして大食いを売りにしているので分析して論文にされると困る、という回答をいただいたことがある。そういう心配をされない大食いの方がいらっしゃったら、ご一報いただけるとうれしいのだが。たとえば、業務やOSS活動で継続的に1時間程度で50KLOC以上のコードを読んで、致命的な潜在的欠陥を指摘できる方。

仕事でお会いした方々の中にも、後輩にも、私が所属している講座の学生さんの中にも少数ではあるが大食いレビューアがいる。大食いレビューアはドメインやプログラミング言語に対する故障モード(故障モード影響解析についてはここで書いた)を持っていて、それを効率よくあてはめることにより潜在的欠陥を指摘しているように思える。勘やセンスと呼ばれることもある部分ではないかと思う。

Comment(0)