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会員制メルマガfoomiiで「ニュースを解く読書」を発行しています。本ブログはその一部をリリースしたり、筆者が取材であった雑感などを書く「別館」です。新刊書評のメルマガやサイトは無数にありますが、当メルマガは既存のニュースを深掘りするための書評。1つのニュースを深く理解するためには、ウェブや新聞よりも本のほうが効率がよいことがあるからです。また、筆者の取材こぼれ話や雑感も適宜出していきます。

ごあいさつ

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 こんにちは。ジャーナリストの森健です。

 12月から foomii というサイトで、『ニュースを解く読書』というメルマガをはじめることにし、あわせて、こちらの誠ブログでもブログを開始することにしました。誠ブログではメルマガの一部を公開すると同時に、ここでしか語らない取材のこぼれ話や雑感なども述べていく予定です。

 両媒体は補完関係にあるものですが、まずはメルマガの趣旨を説明しておきたいと思います。

↓↓ 同メルマガのサイトはこちらです。 ↓↓

メルマガ配信サービス「フーミー」:
   森 健の『ニュースを解く読書』 Dive Into Books with News


 同メルマガの趣旨は「書籍を読むことで、話題のニュースや時事問題をより深く捉え直そう」というものです。

 一義的には書評メルマガというジャンルですが、いわゆる新刊紹介のそれとは異なります。ニュース自体は日々新しいことが起きますが、その問題の本質は昔から存在していることは少なくありません。そこで、いまの問題を理解するのに新刊にこだわっていては、問題の要諦を掴むことはできません。むしろ、過去に刊行されている本の中に、大きなヒントが記されていることはよくあります。
 そうした本の紹介や書評に加え、わたし自身のこれまでの活動の中で知り得た話などを加味しながら、話題のイシューを読み解いていくというのが、本メルマガの企画趣旨です。

 最初なので、すこし長めに創刊意図を語っておきます。

 わたしたち雑誌を中心としたフリーランスのジャーナリストは、通常、何かの取材をはじめる際、その取っ掛かりとしてまず大量に資料を集めます。ウェブで検索できる新聞記事はもちろん、雑誌記事や書籍をまず一斉に取り寄せます。

 集まったところで、右手に赤ペン、手元にPost-itとノートを用意し、机にパソコンと紙資料を広げ、頭にねじり鉢巻き状態でザクザクと読み込んでいきます。そうして大量の情報を頭に叩き込んでいきながら、取材依頼先を選定し、同時に問題のありかを整理していくのです。そうした作業をする際、ウェブはたしかに第一歩としては非常に便利です。気になったことを片っ端から検索しておけば、当該語句の概要はなんとなくわかってくるからです。

 けれども、それはあくまでも「なんとなく」のレベルに留まります。考えてみれば当然のことで、理解の程度が異なる個々の書き手が好きに書いているので、程度の差や把握している範疇はまったくランダムにならざるをえない。しばしば指摘されるように、事実誤認や噂の類も、中にはたくさんあります。それは新聞記事でも同様で、長めの解説記事(これこそが新聞の本来の強みであるのですが)はともかく、200字前後のベタ記事を追うばかりでは、全体像を捉えることはできません。

 そんなとき、じつはもっとも手早く、しかも確実な理解として役に立つのが、書籍だったりするのです。
 書籍が出される際には、担当編集者、担当部局の編集長、校閲など、著者以外に少なくとも3人以上の目を通して刊行されます。文字表記や文章表現のみならず、伝統ある出版社では事実関係もしっかりチェックします。そのように情報の信頼性が確保された本を1冊読めば、何時間もパソコンに張り付いてウェブを検索するよりも、質のよい情報が理解できるのです。少なくとも、わたしはそういう経験を数多くしてきました。

 現在ウェブやメルマガには、新刊の書評媒体はたくさんあります。けれども、どうも今回企図するようなニュースを深掘りするような書評媒体には出会いませんでした。それなら、これまでやってきた仕事と同じ目線、同じ方法論で、書評をやってみたらもいいのではないか、と。
 今回、foomiiの鈴木創介さんに企画を持ちかけられた際、そう考えたのがこのメルマガ創刊のきっかけです。新刊書評の仕事は、これまで雑誌「ダ・ヴィンチ」、読売新聞、現在は朝日新聞などで長い間行ってきていますが、これはそれらとも競合していません。本からニュースを探る。本から社会を深掘りすることは、遠回りのようでいてじつは効率のよい近道です。そんな体験をみなさんと一緒にやっていければと思っています。
 一言付言しておけば、ここで選んだ本が扱うテーマのベストであるわけではありません。ときにはあえて悪書を選ぶこともあります。しかし、そうすることで扱うテーマがより深く理解できるものを選んでいきたいと思っています。

 ロングテールで埋もれた書籍の発見にもなると同時に、いま目の前で起きている問題を深く理解したいという方に、ぜひ読んでいただければと思っています。

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