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高収益の「消耗品ビジネス」が、消耗してしまうリスク

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自宅で使用しているプリンターは小さいとは言え業務用。日々しっかり業務をサポートしてくれています。

今週末、累計5,000枚ほど印刷をした末にトナーが切れてしまいました。そこで事前に買っておいたトナーに交換しました。

このプリンターのトナー、メーカー純正品だと2万円です。消耗品は高いのですね。メーカーはこの消耗品ビジネスで結構稼いでいます。

しかし私はメーカー保証がない「汎用品」と言われるトナーを買いました。5,000円でした。アマゾンの評価もまったく問題がなかったために、プリンター購入と同時に事前に購入しておいたものです。

 

トナー交換のために箱を空けると伝票が出てきました。何かと思ったら宅配便の着払い伝票。「交換済トナーカートリッジのリサイクルにご協力ください」とのことで、配送先住所が印刷されています。返送されたカートリッジにトナーを入れて再販しているのですね。

汎用トナーを販売する会社としては、着払で700-800円程度の配送料を負担してもメーカーの純正トナーカートリッジを入手できるので、十分にペイするわけです。

ユーザーの立場としても使えるモノを捨てるのは躊躇します。送料先方負担でリサイクルしてもらえるならば、ありがたいことです。

汎用品トナーの使用についてはメーカーは非保証ですが、汎用品トナー側では「本トナー使用に伴う故障の修理費用は負担します」としています。

トナーを交換したプリンターは、全く問題なく動いています。

 

メーカーが消耗品で稼ぐ消耗品ビジネスは、ひげそりを安く販売し替え刃で稼ぐ仕組みを作ったジレットで有名になったので「ジレットモデル」とも呼ばれています。

製品本体を販売する際、消費者は価格やスペックを厳しく見るので、主導権は消費者が握っています。一方で一旦買ってしまうと、消費者は消耗品を使い続ける以外の選択肢を持ちませんので、消耗品販売の主導権はメーカーが持っています。

しかし考えてみたら、私が5年前に購入したパナソニックのひげそりは、替え刃を交換することもなく5年間順調に使えています。ひげそりの中には、消耗品が不要の商品も結構あるのです。

 

企業とって消耗品ビジネスは売上をストックビジネス化できることが魅力ですが、消耗品ビジネスと言えども、通常のビジネス同様に常に賞味期限切れのリスクにさらされています。

消耗品ビジネスと言えども、日々顧客の新しい価値を生み続けることに挑戦することが必要なのでしょう。

 

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