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メイド・イン・ジャパン復活のカギは、「スピード」と「正しいリスクテイク」。しかしそれは大きなチャンスでもある

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「メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ」(NHK取材班、宝島社)を読了しました。

 

昨日のブログでご紹介したように、本書は1年前にNHKスペシャルで放映された内容を書籍化したものです。

1年前のコンテンツですが、今こそ必要と思われる箴言が沢山ありました。

 

本書で学べたことは沢山ありますが、私が感じたことをサマリーすると、メイド・イン・ジャパン復活のために必要なことは、表題の通り、「スピード」「正しいリスクテイク」だということです。

 

「スピード」...日本全体がいわゆる「大企業病」にかかっている状況になっています。

根回しに時間がかかりすぎて、意志決定が遅い。それに対して、ライバルの台湾・中国・韓国メーカーは現場に権限委譲されており、数十倍のスピードで動いています。

現代では、「時間」は、「ヒト、モノ、カネ、情報」に続く第5の経営資源です。

いかに意志決定プロセスを権限委譲して簡素化し、スピードを上げるか、ということが成功のカギだと改めて痛感しました。

 

「正しいリスクテイク」...「リスク管理」という言葉が流行っています。

本来の「リスク管理」とは「リスクを正しく評価し、取るべきリスクは取り、そのリスクを管理すること」ということです。

しかし多くの日本企業では「リスクを取らないこと」と理解されてしまっている現状があります。

このため、新しいことには何もチャレンジしようとしない。

顧客の課題を先取りしようとぜずに、言いなりになってしまっているのも、「リスクを取らない」ことが要因なのかもしれません。

一方のライバルであるライバルの台湾・中国・韓国メーカーは、どんどんリスクを取って顧客の課題を先取りし、動いています。

 

しかし、この二つが課題であるということは、見方を変えれば、日本企業にとってはもの凄いチャンスなのです。

本書では、「技術では日本企業にかなわない」というライバルメーカーの経営者の言葉が紹介されています。

現時点でも、日本企業は、ライバルの台湾・中国・韓国メーカーを圧倒しているのです。

ライバルたちが「技術力」という課題を克服するのは難題です。

一方で、日本企業の課題である「スピード」と「正しいリスクテイク」は、意志決定プロセスを変えれば克服できます。「その気になって、やればできる」のです。

 

メイド・イン・ジャパン復活のカギは、要は「やる気があるかどうか」「本気になるかどうか?」。

実際の企業の現場におられる方々は大変かと思いますが、「解決したい」という強い気持ちを持っている人たちにとっては、可能性はとても大きいと改めて実感しました。

 

 

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