セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

欲しがらない豊かさ

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久しぶりに沖縄に出張で行ってきた。最近は皆そうなのかもしれないが、高校などを訪れると、私を見た高校生が、ほぼ全員大きな声で「こんにちは」と挨拶をする。随分きちんとしているなと、ちょっと感動した。

沖縄の若者が、東京に対して「こわいところ」と感じているという話や、就職について思いの外のんびりしていてあまり焦っていない、ということを耳にして、それはそれで地元を大事にしたゆったりした生き方なのだな、と感じた。

ウルグァイの元大統領が国連で話した言葉が話題になったが、貧しいというのは欲しがることだ、幸せは家族とともにあること、というのは、心にしみる。私自身、あまり金や物に執着がある方ではないが、それでも少しでも経済的に豊かである方が良いと思って、それなりに頑張ってきたつもりだ。

だが、結局仕事に追われ、家族とともに過ごす時間は限られ、家族にとって本当にそれが幸せだったのか、或いは幸せなのかは、恐ろしくて話題にも出せない。

ちょうど、浅田次郎氏の「天国までの100マイル」が、ある意味同じようなことを一つの主題にしているので、これがシンクロして、今更ではあるが、これからの残された人生をどう考えようかなどとも思っているところだ。

この小説は、貧しい中で母親一人に育てられた兄弟の一番出来の悪い末弟が、一時は成功者になりながら会社の破産でどん底にいるところで、母親の生死にかかわる大病に接して、必死で母親を助けようとする中で、母親の人生、一度は分かれた彼の妻の人生、どん底の彼を支えてくれている水商売の女、友人や兄弟たちの人生を見つめなおすというものだが、さすがに浅田氏、同年代の私は必ず泣かされてしまう。

ただ、一方で、益々拝金主義化するわが国民、また、確かに経営が苦しいのは分かるが少しでも人件費を削減しようとする経営者、これだけ生産年齢人口が減るとすれば、高齢者も労働人口として活用すべきなのは明確だし、政府も移民政策よりも女性と高齢者だと言っているのに、相変わらず60歳を過ぎると大幅に賃金が減るのが当然だと思っている産業界、どうもなかなか欲しがらない豊かさというところには行きつかないようにも感じる。

何が何でも今の社会保障の制度を守りたい、何が何でも国際経済の中で価格競争に勝ちたい、何が何でも安い方が良い、という発想もある意味で欲しがる貧しさの現れのような気がする。そして、それが社会保障制度の本質を見直すことなく消費税増税で財政の均衡を回復しようという試みにつながり、更には消費税増税が結果として税収を減らすのであれば増税しない、などという原則のない議論にもつながる。

ちょっとPCの調子が悪いので、次回がいつになるか分からないが、今週はここで筆を置く。

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