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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

人の命の大事さ

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中国で、日本人がスパイ行為を働いたとして2名拘束されているという報道が流れた。その後どうなったのか、このところこの件に関する報道がないような気がするが、一時出ていた報道では、中国側の主張では、これらの拘束された方々は、大量に中国の国境や軍事施設の写真を撮っていたとのこと。そして、これは日本の公安当局の要請によるものとのことだ。

事の真偽は、中国のこと故全く定かではないが、仮に日本政府の要請によるものだとすると、この方々の身分などが不明確だが、とんでもないことだと思う。公務員にしろ、民間人にしろ、極めてこのような行為には神経質な中国において、ある意味での素人にこのような行為を指示していたとすれば、そもそも人道的にいかがかと考えざるを得ない。もちろんひょっとしたら本当のプロなのかもしれないが。

そう言えば、先日はイタリア人に続いて、日本人がバングラデシュで、ISと称するグループに殺害された。バングラデシュは、イスラム圏ではあるが、比較的穏健であり、加えてISが活動している中東地域からも離れていて、更に爆破などの不特定多数を対象とした形ではなく、射殺という特定された形で実行されたところに驚きを感じた。

バングラデシュの件もまだ真相は定かではないが、今年初めの、ISによる日本人2名の処刑以来、唯一平和主義の国民として世界からそれなりの評価を得てきた我々日本人に対する世界の見方が変わってきているように感じる。そして、そこには安倍首相のイスラエルでの不用意な発言とか、今般の米国に追従した安保法案など、我が国の政府の対応が全く影響していないとは言えないのではないかと感じる。

一番憤りを感じるのは、やはり政府関係者にしても、誰一人本当に国民の命の尊さを尊重しているように見えないことだ。それが先に書いたスパイの件が本当だとすれば証左になるし、ISの殺害につながった安倍首相の発言でも示されている。そして、それ以上に東日本大震災以降の被災地域における放射能対応の不備と、原発に対する対策の不徹底にも表れていると感じるのは私だけだろうか?

既に、福島市内でも被爆の症状が出ているとのこと。相変わらず現状分析すら出来ず、汚染水は垂れ流し状態であるにも関わらず、居住地への帰還を認め、更には他地域での原発再稼働を認めるなどを見ていると、結局電力不足によるパニックが怖くて、関係産業が低迷することが怖くて、国民の命など一顧だにしていないとしか思えない。

もはや、一時の栄華を謳歌した我が国は存在しない、だから豊かな生活は送れないし、年金も多くは期待できない、更には高度医療も誰でもが受けられるわけではない、だが、我が国国民が一丸となって努力を続け世界の平和に貢献することで、国としても最低限国民の命を守り、全ての国民に必要な最低限のサービスを提供し続けるよう努力する、ということが今求められるのではないか?そして、それは米軍に追随して軍事行動を取ることでも、国際競争に勝つために原発を再稼働することでも、円安誘導で一時的に輸出産業を救うことでもない。

政府の政策で、武器を輸出することに喜びを見出し、政府の尻馬に乗って大型プロジェクトの受注を目指すような、自らの信念を持たず自ら顧客たる諸外国のニーズを把握して案件を受注することのできないような体たらくの大企業に将来などあるはずはない。戦後、もちろんアメリカの庇護があったことは事実だが、「安かろう、悪かろう」と言われ続ける中で、世界の中で販路を勝ち取ってきた先人に今一度学ぶべきことがあるのではないか?

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