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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

整合性を持った政策を!

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安保法制の審議が進まないことから、国会の会期を8月末或いは9月までも延ばして、参議院で通らなくとも衆議院で再議決するという方針で、政府は動いているようだ。

集団的自衛権について、違憲とする憲法学者などに対して、国際情勢の変化やこれを踏まえた国際法の考え方の進歩によって、当然に憲法の解釈は変わるという主張なども出ている。また、国際的な海洋における権益保全の立場から、この解釈変更をしないと我が国国民の安全を保障できない、という説明も出てきている。

確かに、中国が海洋戦略を積極化させてきていることは事実だし、イスラム国などの問題もますます国際情勢を複雑化させているのは事実だ。だが、ではこれが今すぐに我が国への物理的脅威となるのか?また、そもそもイスラム国などを我が国に向けての脅威にしているのは、我が国の行動そのものではないのか?

国際法の概念は重要であり、その慣習法は我が国においても法源足りうるものであるのは事実だと思う。だが、それはあくまで国家がその権利を主張できるということに過ぎず、一方で主権者が定めた憲法でこれを禁じている場合には、すべてを国際法に合わせる必要などないことは自明の理だ。

現在の我が国の問題は、安保法制という個別の政策課題ではなく、そもそも首相をはじめとした政府が、権限を逸脱・濫用して、主権者たる国民の権利を無視し、憲法改正を正規の手続きを経ずに行おうとしているということに尽きる。安保法制が違憲であることは、議論の余地はなく、本当に先に述べたように国際環境が変わったから、憲法を改正すべきなのだとすれば、正々堂々と改正の議論をすればよい。

環境が変わりつつある中で、長きにわたり憲法改正の議論すら起こせなかったからといって、自らの怠惰を国民主権無視という形で強弁するとすれば、独裁者としか言えない。そして、同時に憲法学者が意見陳述するまで、声を上げない我が国国民、更にはこの根本的課題に気づく能力もなく、ましてや報道をしようとすらしないで時間を経過させたマスコミにも大きな責任がある。

参政権を18歳から、という法案が通った。だが、何故これだけ民度が下がっているのに、参政権の年齢を下げるのか?戦争体験がなく、ゲーム感覚の若者に投票権を与えることで、憲法改正などをしやすくするため、と勘繰られても致し方ない。「主権者教育が重要」との報道を聞いて、開いた口が塞がらないのは私だけだろうか?だって、首相をはじめとした政府は、国民を主権者だと考えていないことは明白なのだから。

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