オルタナティブ・ブログ > マイク丹治の「グローバル・アイ」 >

 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

何故外が良く見えなくなってしまうのか?

»

テニスの錦織選手の活躍に随分盛り上がった。これまで日本選手が到達できなかったグランドスラムの決勝に進出したことはすごいことだし、世界のトップテンを3人も破って出たのだから当然称賛の的になるのは理解できる。

そして、本人が勝ちたいと思い、それを口にするのはもちろんだし、彼をそばで見てきた松岡氏や杉山氏が、ぜひ勝って欲しいと思い、そのように発言するのも理解できる。

しかし、途中までと異なり、勝ち上がるごとに取り扱いがエスカレートし、相手選手のランキングや、錦織選手との対戦成績から、勝って当たり前のような報道しかできないマスコミには大きな疑問を感じる。

相手選手も、怪我でランキングが落ちていたという事情があり、しかも準決勝ではフェデラーを3-0で破っているのだから、まさに上り調子。これまでの戦績が当てにならないことは当然だし、マスコミの論調や対戦成績から勝たなければいけないと錦織選手が必要以上に緊張することも当然予想できた。

何だか大げさだが、第二次大戦でアメリカに勝てると思っていたわが国の状況に似ているような気がしたのは私だけだろうか?何故我々は冷静に状況を分析して対応できないのだろうか?もちろん勝って欲しいのは皆同じだが、やはり勢いにおいて、そして精神面において相手選手が有利だったのは明らかだと考える。

そして、更に決勝に出たのだから良いではないかという、負けた後の妙な優しさ。もちろん優しさは必要だが、でも勝負事は勝たなければいけないのではないか?このあたりにも逆に変な甘さを感じる。

今、バングラデシュに来ているが、先般の安倍総理の来訪の結果として、これまで以上に日本に期待する声が高まる一方で、やはり日本の大企業の動きの遅さが戸惑いをもって見られている。

もちろん新たな市場に参入するには、周到な準備と調査が必要だが、それ自体に逡巡が見られるところもあるとすれば、益々スピードが求められるグローバルなビジネス社会で生き残れるはずがない。それにも関わらず、政府援助などに期待した行動しか取れない企業があるとすれば、これもまた過去の幻想を引きずっているとしか言いようがない。

虚心坦懐に周囲の状況と、自らの実力を見極めて、迅速な決断をし、思い切った行動を取ることもこれだけ国力が弱くなったわが国企業には必要なのではないか?

Comment(0)