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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

もっと自由な発想を生かそう!

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ちょうど政府が独立行政法人のマスコットキャラクターについて、注意喚起したという報道が流れた。いわゆるゆるキャラブームで、それなりに効果が出ているところはあるのだろうと思うが、一方で作ってみたが全く活用されていないというケースも多いようだ。

ゆるキャラ自体を否定するつもりはないが、そもそも独立行政法人にしても地方自治体にしても、行政目的があるわけだから、それとの関係でどういう具体的目的があり、何が求められる成果で、その達成がどう評価されるかというのが、行政の施策には必ず必要だ

だが、事業仕分けについて記載した際にも指摘したように、現実には目的と成果についての意識が希薄で、更に言えば単に行政活動を行ったら成果があるという評価になっているケースが極めて多い。そして、そのことについて指摘し、質問して見ても、そもそも行政側は意味が分からず、答に窮するということが頻繁に起こる。更に言えば、では何故行政でやっているのかと聞くと、公益性が高いからという回答が来て、結果禅問答になってしまう。

このことは、先だっても記載した国立競技場の件など見れば一目瞭然だろう。メダルの数と国立競技場はどう関係あるのか、また対象機関の本部ビルの立て直しと予算の目的はどう関係あるのか、このあたりが全く説明不能だと感じる。

ゆるキャラにしても、どうもブームが来ればそれに合わせて自分のところでも作ってみようということ以上のものではないと感じる。これは行政に始まった話ではないが、どうも大きな組織になると、他のところがやっているから、ということで追随し、一方で何か新たな提案が出ても、他ではやっていないとなると否決されるケースが多い

もちろんコストをかける以上、いずれにしても目的、効果に関する慎重な検討が不可欠だが、今回の独立行政法人の話を見ると、その判断基準が「横並び」となっているとしか見えない。

ちょうど今週はシンガポールへ出張し、となりのマレーシアのジョホールバルの開発状況を見てきた。過熱気味とも見える部分がないわけではないが、一方で海外の大学を集中的に誘致するエリアの創設など、独自の発想も生かされている。そして、何よりマレーシアにしてもシンガポールにしても、社会が前を向いている気がする

既に一人当たりのGDPでわが国をはるかに凌駕するシンガポールですら、或いは香港もそうだとすれば、わが国の何となく漂う悲観的な雰囲気は先進国故とも言えまい。何でも横並びでなく、新たなアイデアを積極的に生かすような運営が行政や大企業にも求められ、それが経済成長のみならず社会の発展にもつながるのではと感じた次第だ。

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