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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

少し立ち止まって!

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韓国の海難事故が悲惨だ。それにしても、日本政府の対応が解せない。このタイトルとは逆だが、私の理解では随分協力の申し出は遅かった。加えて「協力の用意はある」という型どおりの申し出。もちろん韓国と日本の間には、従軍慰安婦とか竹島とか政治的には争点もあり、ましてや協力とは例えば自衛隊の派遣などだから、その意味でも極めて微妙で、韓国としても簡単に「ありがとう」とは言えないだろう、という配慮があったのだろうと思う。

だが、色々と相違点があるとは言え、わが国は隣国であり、韓国はわが国にとって文化的にも人の関係でも最も近い存在だ。そして、起きている事故が、高校生というこれから長い将来を持つ若者たちであるとすれば、最終的に協力要請がされるかどうかは別にして、事故後即座に、そして「是非一緒に捜索させてください」くらいの勢いで言っても良かったのではないか?わが国の対応がとても冷たい感じがするのは私だけだろうか?

それにしても、報道による限りとても悲惨な事故だ。船長は三等航海士に極めて危険な操舵を任せ、しかもすぐに逃げ出し、一人の20歳の乗組員が自分の命を賭して乗客を救おうとしたのを除いて、乗員は早めに下船、しかも60%傾いているのに「客室に止まれ」とのアナウンス。だが、大事なことは、これは韓国だからとかいうことではないという点。

つまり、何だか経済成長とか技術開発とか、国際化とか海外への進出とか、前のめりになって進んできているところで、韓国にしてもわが国にしても何か落としてきているのでは、ということだ。この海難事故も、本来であれば船長は、法的にも相応の責任を負う特殊な職位なのだから、その職責からももっと対応できたはずだし、そもそもこのような急旋回が必要だったかも分からない。

本当であれば、まだ何十年という人生を控えている大事な若者を乗せている立場であれば、何が何でも乗客の安全、命を一番大事に操船すべきではないか?その意識が社会全体として希薄になっているのではないか?これは、日本で言えば、例えば以前にあった一流ホテルやレストランの材料偽装問題などでも同じ。或いは、福島原発事故の原因究明がまだされていない中での再稼働の議論なども同根だと思う。

東京オリンピックと言えば、「世界最高のオリンピック」とばかりに浜離宮に都としての迎賓館をつくると言って見たり、自国で安全確認も出来ていないのにトルコ・UAEに原発輸出と言って見たり、武器輸出原則を緩和したらすぐにミサイル用のセンサーの商談に乗ってみたり、何故こんなに前のめりになる必要があるのだろう。

何も、急ぐ必要はない。今一度、一番大事な地球・人類・わが国・そして自分の周りの人たちの幸せにどうすれば少しでも役立てるかという、もっとも基本的なことについて、立ち止まってゆっくり考えてみても良いのではないか?

 

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