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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

イスラム圏にも目を向けよう!

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今週は、バングラデシュからのお客様を、日本の政財界や政府機関にお連れするので結構忙しかった。

バングラデシュは、ご案内の通りパキスタンから独立した国だが、繊維産業では長い歴史を持ち、地理的にヒンズー教徒や仏教徒などとも共生するイスラム国家だ。

来年1月に選挙を控えているため、毎度のことらしいが現状は政治的な衝突が目立ち、あまり旅先としては推奨されないが、人口も1億6千万、ローマ時代からの繊維産業の歴史などから、労働者のスキルも高く、加えて親日度も高いので、もっと日本企業が出ていても良いのだが、あまり積極的な進出は見られない。

これは一つには距離的にも遠いことがあり、更にイスラム圏だということも影響しているのだろうか?一方で、新興国としては近い存在であるミャンマーへは、何故か多くの企業が殺到している。これは「ビルマの竪琴」の記憶もあるだろうし、仏教国ということも理由となるのだろうか?

ともかくも、今一度我々が認識しなくてはならないのは、イスラム圏は50カ国以上あり、その人口は15億人程度ということだ。もちろんわが国としては、欧米や近隣の東南アジア諸国などと仲良くしていかなければならないのは事実だ。

だが、一方で、世界の中でわが国がわが国なりの役割を果たす上で、或いは正当な発言権を得る上で、わが国を支援してくれる国が増えることは大事だ。また、経済の面からみても、軍事的な側面で膨張主義を継続する中国だけに依存するのは危険であり、その意味でもイスラム圏はこれに代替するものとして考えることが出来る

何と言っても、欧米諸国はイスラム圏に関しては、原油などの搾取に始まり、自らの利益のために国境線を引き、テロ国家だと言って爆撃し、キリスト教的な価値を押し付けるという歴史の中で、決して高く評価されていないのに対して、日本はそのような行動をしていないことに加え、産業界の様々な協力によって、とても良い印象を持ってもらっている。

だとすれば、もっと仲良くなる努力をしても良いのではないか?どうも、イスラム圏というと、全く違う社会という印象を受けるのではないかと思う。確かに、イスラム教は、欧米文化に親しんだ我々には理解しがたい部分があると思われる。だが、原理主義の人たちを除けば、思いのほか我々と近い生活をしているし、彼ら自身が日本の文化にも関心を持っている。

もちろん酒は飲まないし、豚肉は食べないが、同じ人間そんなに違うはずがない。例えばマイクロファイナンスというものはバングラデシュから出てきたが、これは要は仲間内で助け合うという仕組みであって、日本で言えば講のようなものの延長線だし、その意味では社会のでき方や人の関わり方は、欧米と比べてももっと日本に近いような気もする

そして、結構皆が行くマレーシアやインドネシアを含めて、アジアにも多くのイスラム国家があるにも関わらず、あまりイスラム文化などに関心が向かないのは残念だ。無宗教で、誰にも分け隔てがないという日本の良さをもっと生かして、世界においてその価値を高めるためにも、イスラム圏にももっと関心を持とう!

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