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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

日本の民主主義は本物か?

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エジプトで政変が起きた。アラブの春からわずか2年、独裁政権から選挙による民主政権になったと思ってから1年の出来事だ。更に、トルコとかブラジルの暴動などを見るにつけ、まだ社会的に成熟していない途上国が民主化する上での長道のりの一歩などと評価する向きもある

確かに、経済が貧しい中で、国家が保有する天然資源などを独占する形で、独裁体制が継続してきたのは事実だろうし、これがフェイスブックなどの力で、世界の現実を知り、且つお互いに容易に意思疎通が出来るようになるに及んで、一気に社会を変えるうねりが押し寄せたのは事実だろうと思う。

だが、エジプトは、観光資源もあり、歴史的に見てもアフリカ諸国や中近東ではリーダー格であったし、イスラム世界というのは、確かに欧米の近代政治とは異なる仕組みではあるが、ある意味で相互扶助の社会であって、必ずしも後進国と断言できるものでもない

そして、今回の政変もその現実を詳細にわたって知ることは後世に委ねる必要があると思うが、そもそも独裁政治に反対してイスラム色の強い政権に変えてみたが、現実には暮らしが良くならないことによる苛立ちが原因の一つではないかと考えられる。一方で、イスラム色を重視する人々は静かに政権の崩壊を悲しむ図も見える。

確かにクーデターという意味では大変なことだし、これから何が起こるか分からないが、すくなくとも平和裡に政権交代が行われたことは、ある意味賞讃に価する

ところで、わが国はちょうど参議院選挙の真っ最中だが、わが国において自国が民主主義であることを疑うものはいない。だが、ちょっと思い起こしてみよう。長い自民党政権が続き、その中でリーダーが頻繁に変わるなど質が劣化した中で、求められる変革が果たされず、官僚主導の既得権益にすがった政治がNOを突き付けられた。

これが民主党政権の誕生だった。だが、政治主導、国民生活優先、既得権益の解消と抜本的な改革を期待された民主党は、残念ながら経験不足とあまりにウイングの異なる幹部たちによる統率の不能で、馬脚を現し、解散を余儀なくされた。

これを国民の側からみれば、長期にわたって君臨した自民党政権つまりエジプトで言えば独裁政治に対する反発から、思い切って変えてみたが、結局その民主党政権でも暮らしは一向に良くならないので、再度元に戻してみた、ということであり、実はあまりエジプトと状況は変わらないのではないか?そして、この大きな変化の中で、結局本当に必要な改革は何一つ実現していないのだ

そもそも二大政党制とは言っても、これだけ大きく振れる政治ということ自体、選挙制度の問題はあるとしても、実はわが国の国民はさほど成熟していないのではないか?などとも思って見たりする。

そして所謂先進諸国で起こっている代議制民主主義の制度的疲労や、先に述べた様々な地域での政治的混乱、などを見ると、人間社会はまだまだきちんと機能する仕組みを作れていないし、ましてや現行の仕組みすら使いこなせていないわが国は、とても民主主義の国だなどと胸を張れるものでもないと感じる

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