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お客様や部下への接し方を、自分の大切な守るべき人(幼児や高齢者など)に置き換えて考えれば、サービスやリスク回避のためにできることは、まだまだあると思います。コンシェルジュ的発想で「おもてなし」を中心に、気づきを綴ります。

銀行の待ち時間は減らせるか? 3

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紙1枚、シール1枚で劇的な効率化を実現する
業務改善ミエール・デ・キールの片所(カタショ)です。

銀行の待ち時間を減らすために、
コンシェルジュだった私がやっていたことを書いています。

◆ATMのインターホンと非常用ボタンについての説明

ATMには、インターホンがついているのをご存知でしょうか?
ATM本体の左右の壁をご覧いただければ受話器がすぐに見つかると思います。
この受話器を手に取ると、呼び出し音が鳴って、
担当者と会話ができるようになっています。

今のATM(現金自動預け払い機)ができるまでは、
CD(キャッシュディスペンサー:現金自動支払機)と呼ばれる、
現金引き出し専用の機械でした。

やがて入金や振込ができるようになり、硬貨やおつりにも対応し、
通帳の繰り越しやクレジットカードの取扱までもが可能になりましたが、
これはお客様にとって便利な反面、操作も複雑になってしまいました。

ATMの初期画面には、現在10個程度の取引選択ボタンが並んでいます。
プレゼン資料に例えるとわかりやすいのですが、
一画面にたくさんの情報を詰め込んでしまうと、
目的の情報を見つけにくくなってしまうものです。

ATMでどのような画面が表示されるのかは、
実際にその取引をするまでわかりませんし、
ATMは毎日使うものでもないので、覚える機会は非常に少ないのです。
(※金融機関によってはウェブサイト上に操作のご案内が掲載されています)

そのため、案内係はさまざまな質問をお受けします。

・入金の時におつりは出せるの?
・振込手数料は相手が負担してくれるって言うけど入力する金額はいくら?
・振込で相手の名前は入力したけど、自分の名前は入力しなくていいの?
・振込の途中だけれど、小さい「ョ」はどうやって入力するの?
・郵便局の口座には送れないの?

その他にも前回に書いたATMの休止などで、
お客様が困った時に案内係がそばにいない場合は、
このインターホンをご利用いただけば担当者が対応するようになっています。

ところが、そのインターホンの近くには非常用のボタンがあるため、
なかには間違えて押してしまうお客様もいらっしゃいます。

非常用ボタンが押されると、行員は確認や復旧作業を行うのですが、
これらも、わずかながらロビー全体の待ち時間に影響が出ると考えられます。

当のお客様は、押し間違ったことに気付かなくても、
血相を変えた行員が複数で駆け寄って来るので驚いてしまいますし、
ほかのお客様の注目を浴びて恥ずかしい思いをしてしまいます。

そのようなことがないように、非常用ボタンには「非常用」、
インターホンの受話器には「ご案内用」と、それぞれ色を変えてシールを貼りました。
(※もともと貼ってあるシールは、小さくて目立ちませんでした)

pop-3.png

さらに、ATMの待ち時間を利用して、インターホンはどこにあるのか、
非常用ボタンはどこにあって、押すとどうなるのかについて説明を行いました。
これによって、非常用ボタンの押し間違いは格段に減りました。

非常用ボタンは、駅のホームでの落下事故や火災発生と同様に、
使わないに越したことはありませんが、
その存在・場所を知らないために、万一の時に使うことができないのでは困ります。

銀行に限らず、自社の設備やサービスを安全で正しく充分にご利用いただくためには、
どのような張り紙(ウェブ情報を含む)が有効で、
どのような人的サポートが必要であるかを、
現状に満足せず日々考えて改善していくことが大切です。

お客様がどのような動きをしていて、何に困っているのかについては、
やはりお客様のそばにいないと、なかなか見えてきません。


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コンシェルジュの視点で提案する業務改善
「ミエール・デ・キール」
http://www.mieru-dekiru.jp/

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