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午前十時の映画祭で「チャイナタウン」を観てきた、そして今年も

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先日、六本木のTOHOシネマズで「チャイナタウン」を観てきました。過去の名作を25本選び上映する午前十時の映画祭で、大好きなこの作品に映画館の大きなスクリーンで再会することができました。ロマン・ポランスキー監督、ジャック・ニコルソン主演、共演にフェイ・ダナウェイ、ジョン・ヒューストンです。個人的には、「死刑執行人もまた死す」、「第三の男」、「ロング・グッドバイ」などと並んでサスペンス映画の最高峰の一つです。

主人公は元刑事の探偵、最初は単なる浮気調査のはずでしたが、二転三転していく物語、次々に現れる一癖も二癖もある登場人物、だんだんと巨大な悪の組織に巻き込まれながら、その中に悲しい人生を背負った人間模様のドラマが展開されていきます。1930年代のロサンジェルスを再現した雰囲気、ジェリー・ゴールドスミスの美しいながらも不安を掻き立てる音楽、憎いまでのカメラショットやカメラワークと映像と音楽に酔いしれながら映画に引き込まれていきます。

しかし、この映画撮影中は、出演者が罵り合いながら制作されたとの逸話があります。プロデューサーが連れてきたフェイ・ダナウェイが気に入らない監督、脚本のラストシーンが気に入らない監督、映画が出来上がってから変更された音楽などなど、とても協力しあって作られた映画ではなかったそうですが、完成品を観た時に関わった関係者があまりの素晴らしい出来にポランスキーに何も言えなくなってしまったそうです。ドキュメンタリー映画にもなった名プロデューサー、ロバート・エヴァンスの手腕もあったのでしょうね。また、ロバート・タウンのこの脚本は、ハリウッド映画史上最高とまで讃えられているそうです。ただ、ポランスキーが書き換えさせたあの結末だからこそ、この映画が胸に突き刺さり、見終わった後、何とも言えない余韻に浸ることができるのだと思います。出演者の演技も素晴らしく、特に名監督しても名声を欲しいままにしているジョン・ヒューストンの怪演は、本当に怖いです。

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そして、今年も4月から第三回新午前十時の映画祭が開催されます。今回も「風と共に去りぬ」、「カサブランカ」や「ローマの休日」などの王道とともに、映画ファンを唸らされる渋いセレクションが含まれています。特に最近ではスクリーンでの上映がほとんどない「アフリカの女王」や「素晴らしき哉、人生!」の2本に心躍らせれてしまいます。これは絶対にスクリーンで観たいです。また、昨年亡くなられた高倉健主演作品も「駅STATION」と「新幹線大爆破」の2本、そして今だからこそ観たい黒澤明監督のヒューマンドラマの傑作「赤ひげ」も嬉しいセレクションです。
そして、映画館で絶対泣いてしまう「ひまわり」やこれまた切なく胸が締め付けられる小津安二郎監督の「東京物語」も何度でも映画館で観たい作品です。加えて小津監督の遺作「秋刀魚の味」も上映予定で、今回も映画が持つ魔法の素晴らしさを体感できるセレクションになっていて楽しみです。

上映作品リストは、こちら。4月に新しくオープンするTOHOシネマズ新宿も上映劇場に含まれています。

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