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ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

次世代マーケティングを考える

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先日、大阪に行った際に、心斎橋筋を歩いておりまして、そうだ大丸へ行こうと思い立ち寄りました。大丸の心斎橋店は、ヴォーリズの名建築で、訪れるだけで幸せな気分になれるデパートの一つです。大丸は、東京にもあるので買い物をしにきたというわけではないのですが、大丸のポイント・カードを持っているので、来店ポイントでも貯めようと思い立ち寄ったというのが一番の理由だったりします。(笑)
入口付近にあるポイント付与機にカードを差し込んで、ポイントが付いたのでさて帰ろうかと思ったら、携帯電話がブルブル震えメール着信。見てみると大丸心斎橋店からのメールでした。「大丸心斎橋店にご来店ありがとうございます」のメッセージが・・・。ポイントを付けてから、ほんの二、三歩歩いただけだったので驚いてしまいました。メールには、各フロアで開催されているバーゲンや催しものの情報などが書いてありました。そればかりか、この携帯メールの画面を見せれば割り引かれる商品の情報もあり、思わずうなってしまいました。確実に今、店舗内にいる客へのお得な情報。なかなかやるなあと思いました。

そんな折、時事通信の湯川さんが、次世代マーケティングの本をお書きになっていたことを思い出し、さっそく購入して拝読しました。(以前、湯川さんに弊社にセカンドライフの取材に来ていただいた際に名刺交換をしており、この本の情報をいただいておりました。)
私は、広告業界の人間ではないですが、今この業界で起きている変化は、面白くまた脅威に感じました。Googleの検索連動広告やAmazonの購買履歴データ活用マーケティングなど、出始めの頃は、なんとなーくふうーん面白いことやるねえ程度に思っていたことが、気が付けば業界の主流になっており、既存の広告を脅かしているのだと、ちょっと驚いてしまいました。興味関心がある人へその関連情報を送るターゲット化されたマーケティングは、これほどリーチしマッチするものはないですよねえ。まあ、興味あるわけじゃなく、その人と知り合いだから半分義理で買ったような物に対して、類似の情報をメールで送ってくるAmazonには、ちょっと辟易ですが、データを利用したマーケティングという意味では、やっぱりすごいなあとは思います。

湯川さんの「次世代マーケティングプラットフォーム」ですが、米国での事例がたくさん紹介されていました。私は、広告業界の人間ではないので、広告を出す側でなく、受け取る側の視点で興味深く拝読しました。新しいテクノロジーの広告が、テレビや新聞・雑誌など既存の広告のシェアを縮小していくというのは、ものすごく分かる気がします。個人的な話ですが、家に帰って、PCでネットにつなぐことはあっても、テレビを見ることは本当に少なくなりました。新聞も以前は2紙とっていましたが、ネットでニュースが見られるので1紙やめました。確実に既存のマスメディア広告から離れている自分がいます。

ただ、自分の興味・関心分野の広告だらけになったら、それはそれで人生つまらないです。クリエイティブな広告市場は縮小するけどなくならないと書かれてもいましたが、そこですね。人に新しい興味、関心を惹かせるだけのクリエイティブな広告は、やはりなくなっては困ります。

また、米国でのデジタルサイネージの事例もとても面白かったです。日本もいずれこういうのがたくさん出てくるんだろうなあと思ったら、今朝の日経MJにたくさん事例が紹介されていました。店頭のディスプレイを利用して、見た人の顔の角度で見たかどうか判断し、そのログを取るものが載っていました。誰が見たか分からないテレビや雑誌の広告と違い、見た人の性別、年齢、そしてその商品に興味がある人が確実に見たというデータが記録されるのですから、これはものすごいターゲット分析ができますよねえ。デジタルサイネージに携帯電話をかざすとお得なクーポンが入手できる、ホスト・サーバー側で簡単に広告の内容が変えられる、まさに本に書かれていた通りのことが既に日本でも起きていたのですねえ。
このデジタルサイネージの市場、この不景気の中、ものすごく伸びているそうです。

2015年に1兆円超へ:
右肩上がりの成長曲線を描くデジタルサイネージの市場規模

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0901/06/news078.html

湯川さんの「次世代マーケティングプラットフォーム」、とても分かりやすく面白かったです。ちょっとしたアイデアが気づくといつの間にか業界のデファクトになっている、そうした企業を次々に買収して組み合わせまた新たなビジネス・モデルを作っていく、なるほどうかうかしていられないと実感しました。そうした新しいアイデアの企業のキーパーソンのインタビューも満載でした。耳に馴染みのない会社名もありましたが、きっと近いうちにGoolgeみたいに有名になっているかもしれませんね。

湯川さん、今度は、広報パーソン向けの本も書かれたようなので、そちらも読んでみたいと思います。「宣伝費をネット広報にまわせ」というタイトル。いいですねえ!(笑)

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