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技術で勝って、商売で負けていませんか?

AI(人口知能)分野で優位に立てるのか?

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robot.jpg今日は久しぶりに日経新聞の経済教室に掲載された記事を紹介したいと思います。内容が良かったからです。

今回をきっかけに、執筆した松尾豊東京大学准教授の同分野における発言を今後も追いかけてみることにしました。

「コンピューターに知能テストを受けさせたりゲームをプレーさせたりするよりも、1歳児レベルの知覚と運動のスキルを与える方がはるかに難しいか、あるいは不可能である。」

「子供でもできるようなことは何十年も、コンピューターには一向にできなかった。」

「これらができなかったのは"子供のAI"、すなわちディープラーニング(深層学習)が可能にした、現実世界から何を取り出すかという特徴量の抽出ができなかったからだ。ひとたび"子供のAI"ができれば、人間と同じような画像認識もできるし、人間と同じように動作が上達・熟練する。」

「いま、AIはブームを迎えている。米IBMのワトソンなどは"大人のAI"だ。企業もビッグデータを取得するようになりそれを活用するためのAI利用が進んでいる。これも"大人のAIだ"。知的な振る舞いができるように裏で開発者が一から十まで設計している。とはいえ、これまでデータを蓄積できなかった、あるいは活用できていなかった領域(顧客管理、医療、金融、教育など)ではそのインパクトは大きい。」

「"大人のAI"と"子供のAI"を混同してはいけない。どちらも重要だが、戦略が異なる。"大人のAI"はビッグデータの世界であり、グーグルやアマゾン・ドットコムが強く、最初にプラットフォームを築いたものが有利である。経営にどのように結びつけるかがカギで、マーケティング、販売と相性が良い。ビジネスチャンスをかぎとる力が重要で、成功しなければすぐに撤退するピボット(旋回)戦略とノリの軽さが必要だ。米国が強く、これから日本が逆転するのは難しい。」

「一方で、"子供のAI"はハードサイエンスと真面目な研究開発が重要だ。個別分野でニーズに正しく応え、圧倒的な性能向上により製品の付加価値を生む。きちんとした設備投資と設計が必要で、ものづくりと相性が良く、日本にもチャンスが大きい。」

「画像認識のためのカメラから始まり、センサー、セキュリティー、製造装置、ロボット、建機や農機などの機械設計、物流、インフラ産業が関係する。さらにはモーターなどの駆動系や素材産業も間接的に関係する。様々な産業が"子供のAI"により一気に発展する可能性がある。」

「"子供のAI"で、機械やロボットの運動能力が向上することにより、解決策が見えてくるかもしれない。」

「"子供のAI"、すなわちディープラーニングの技術で先行するのは米国、カナダ、フランスだ。日本はひいき目に見ても2番手集団の一角といったところだ。グーグルや米フェイスブックなどは、膨大な資金で優秀な技術者や研究者を集めている。しかし面白いことに、本当にチャンスがあるのは、こうしたネット系企業や移民を受け入れる米国ではなく、ものづくり企業や労働力不足の日本である。」

「筆者の見立てでは、諸外国は"子供のAI"がものづくりに大きな影響があることをまだ明確に意識していない。諸外国に対する時間的な優位はおそらく半年から1年この間に一気に、AIを組み合わせた製品を世界市場に投入できるか。それが勝負だ。」
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いかがでしょうか?
実は松尾氏の存在は以前より知っていて、気になる人物でした。
同氏も指摘していましたが、上述の中でもビジネスにつながるポイントをお教えしたいと思います。

それはずばり、"子供のAI"を使った「画像認識技術」の精度向上によるビジネスへの利活用がすべての始まりであり、課題解決のキモです。

筆者の拙ブログでも以前にご紹介しましたが、すでに日本の企業でこうした技術を活用したソリューションビジネスの展開につなげようとしているところがあります。

指摘にもありましたが、時間との戦いの中で、いかに先行者利益を享受できるかが大事です。





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